京急「品川再開発」、トヨタ参加で大きく変貌? リニアと自動運転の「次世代ターミナル」に

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トヨタは単なるテナントとして入居するのではなく、京急との共同事業者として再開発計画に参加する。京急は敷地の一部をトヨタに譲渡し、両社が共同で再開発を実施、完成後はトヨタが施設の一部をオフィスとして利用する。

複合施設「シナガワ グース」の外観(編集部撮影)

東京都には品川―白金高輪間を地下鉄で結ぶ構想がある。トヨタの東京本社は水道橋近くにあるため、品川地下鉄が完成すれば、都営三田線を経由して品川と水道橋の間がぐっと近づく。また、トヨタは名古屋駅前にもオフィスを持つ。品川のオフィスからならリニア完成後はわずか40分で結ばれるため、地下鉄やリニアが開業すれば、トヨタにとって品川は利便性の高い場所になる。

さらに、国土交通省は品川駅西口の国道15号上空に自動運転など最先端のモビリティの乗降場を集約した次世代型交通ターミナルを整備する構想を持つ。「未来の乗り物」ともいえるリニアの開業だけでも品川駅は世界に誇れる駅となるが、そこへ自動運転車も加わる。鉄道だけでなく自動車も含め、「世界に誇れる交通拠点」(国土交通省)を目指すことになる。

大変貌する品川駅西口

4月1日には、都が京急・泉岳寺―新馬場間約1.7kmの連続立体交差事業に着手すると発表した。これにより、現在は高架駅の品川駅が地上駅となり、地上駅の北品川駅が逆に高架駅となる。周辺の踏切3カ所が撤去され、交通渋滞や踏切事故の解消が期待される。また、高輪ゲートウェイ付近の高架が地上化するので、景観もよくなる。事業費は1247億円で2029年度に完成予定だ。

品川駅の地平化は2027年ごろに予定されている。地平化によってホームは2面3線から2面4線になり、ホーム上の混雑緩和や運転時間の短縮が期待できる。羽田空港国内線ターミナル駅に引き上げ線を新設する計画もあり、これらの施策によって品川―羽田空港間の輸送力増強が可能になるというメリットも京急にはある。

京急はこのほかに「高輪4丁目地区」計画と呼ばれる、京急の2棟のビルの敷地約8000㎡を再開発する計画もある。さらに、西武ホールディングスもシナガワ グースの隣接地に「グランドプリンスホテル高輪」などの物件を抱えており、これらを再開発する構想もある。

品川駅西口がどう変貌するか、これまで描かれていた青写真が少しずつ具体化してきた。あとは、新型コロナウイルスの影響をどう乗り越えて、実行するかだ。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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