1400万人の米国人が美容整形に走る深い理由

理想化された女性美・男性美に苦しむ現代人

美容整形手術をしてより美しくなりたいと駆り立てる心理とは?(写真:gorodenkoff/iStock)  
所得格差が大きな社会では、人々はより強くストレスを感じ、不平等は人々の心に悪影響を及ぼす。いち早くそのことを指摘し、全英ベストセラーとなった『平等社会』。
同じ著者たちの待望の続編『格差は心を壊す 比較という呪縛』がこのほど翻訳出版された。この新刊では、不平等が私たちの心をどう蝕んでいくのかを解き明かしている。500超の文献と国際比較データを駆使して書かれた本書の一部を、全4回に分けて抜粋・編集して紹介しよう。第1回のテーマは、私たちはなぜ美容整形にはまるのかである。

自己愛を強めて生き残ろうとする人々

人々の「差」が際立ってくると、人は社会的地位でお互いを品定めするようになる。そんななかで自分に対する自己愛を強めることは、自信喪失や劣等感に打ち勝って、社会的に生き残るための究極の戦いだ。

『格差は心を壊す 比較という呪縛』(書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら

自己愛の特徴は、自己への執着の強さ、他人の注目や賛辞を絶えず必要とすること、人生の成功や容姿の美しさや恋人とのロマンスについて非現実的な空想をもっていること、などである。

社会的地位への不安や出世欲が自己愛を増大させていくにつれて、私たちは自分の気質や個性、成功などを他人の目を通してしか見られないようになる。

そればかりか、自分の身体を他人と比較し、他人が自分をどう見ているか気になり、外見の見栄えと個人的な価値とを混同するようにもなるのだ。

心理学者のジーン・トウェンギと彼女の同僚たちは、ベビー・ブーマー(1946~1961年生まれ)、ジェネレーションX(1962~1981年生まれ)、ミレニアルズ(1982年以降生まれ)など異なる世代の人々が、同年齢のときにどのような生き方や人生の目標を持っていたのか、その比較を行った。

それによると、若い世代ほどお金や容姿、名声への関心が強く、その一方で自己承認や友好関係、地域社会にはそれほど関心を示さない。時代の変遷とともに所得の不平等が拡大するにしたがって、知識や思想の習得より、お金を稼ぎたいということが大学進学の主要な動機となった。

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