外貨獲得に奔走、北朝鮮のサイバー犯罪の手口 関与した「中国人2人」を米司法省が起訴した
2020年3月2日、米司法省は、北朝鮮のハッカー集団が暗号資産交換所からサイバー攻撃で盗んだ暗号資産(仮想通貨)2億5000万ドル(約275億円)の一部の資金洗浄と無許可の送金に関与した容疑で中国人2人を起訴した。同日、米財務省もこの2人への制裁措置を発表している。
西側諸国は、中国人による北朝鮮のサイバー攻撃への支援について今までも指摘してきた。しかし、そうした容疑で米司法省が中国人を起訴するのは今回が初めてである。ウォール・ストリート・ジャーナル紙とサイバーセキュリティに特化した米オンライン誌のサイバースクープなどが報じた。
サイバーセキュリティを含め技術情報を扱う米ニュースサイトのZDNetは、このたびの米財務省による制裁発表が、中国の銀行業界への威嚇射撃的意味合いを持っているのではないかと分析している。
それというのも、米財務省はマカオの銀行「バンコ・デルタ・アジア」に対し、北朝鮮への支援容疑で2005年に制裁を科しているためだ。この銀行の規模自体は小さいが、米国政府からの制裁を見たほかの中国の銀行の多くが北朝鮮政権との取引を中止したという経緯がある。
起訴された中国人が使った資金洗浄の手口
今回起訴された田寅寅と李家東の2人は、2017年12月から2019年4月にかけて1億ドル(約110億円)以上のビットコインを北朝鮮の代わりに資金洗浄し、盗まれた金の司法当局による追跡を阻んだ容疑が持たれている。
田と李は、複数の段階を踏んで資金洗浄をしていた。2人は、北朝鮮の口座から9100万ドル(約100億1000万円)と950万ドル(約10億4500万円)の2回に分けて金を受け取っていた。
送金された9100万ドル(約100億1000万円)のうち3400万ドル(約37億4000万円)以上を人民元に換えて、中国の銀行に預金した。さらに、140万ドル(約1億5400万円)をiTunesのギフトカードに換えた。田は、このギフトカードをさらにビットコインに交換していた。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら