デジタル化ランキング上位に意外な「あの県」 経済・人口規模とは異なるデジタル活用能力

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NRIはデジタル公共サービスの「市民の利用度合い」もアンケートで聞いているのだが、千葉、東京に次いで滋賀県が3番目に高かった。また「電子化されたお薬手帳、スマホアプリの利用」「個人の健康情報を管理・一覧できるスマホアプリの利用」については、滋賀県が全国でいちばん高かった。

デジタル活用度が高い人ほど生活満足度が高い

欧州委員会は、DESI(デジタル経済社会インデックス)という指標を作り、加盟国がどれだけデジタル化しているかを毎年評価している。

DCI(デジタル・ケイパビリティ・インデックス)はDESIを参考にアレンジしたものだが、名称に「ケイパビリティ」という言葉を入れたのにはわけがある。

ケイパビリティとは、ある目的の達成に必要な能力を意味する。DCIという名称には、デジタル技術が人々の生活防衛手段(例:新型コロナウイルス対策)として活用されるだけでなく、ウェルビーイング(持続的な幸福)を高めるよう使われるべきである、という思いが込められているのだ。

実際、われわれの研究では、デジタルサービスを上手に活用している人ほど生活満足度が高い傾向にあるという結果が出ている。裏返せばそうでない人との格差があるともいえる。

その意味で、DCIスコアを通じて各都道府県の経済的・社会的弱者にスポットライトをあて、デジタル・ケイパビリティを高めることを通じて市民のウェルビーイングの底上げを図ることを意図している。

アマルティア・センが提唱したケイパビリティ・アプローチも、経済的・社会的弱者に着目し、それらの人々にお金や物をただ渡すだけでなく、ケイパビリティの構築支援をすることで「(なりたい自分になる)自由の平等化」を図ろうと考えたものなのだ。

森 健 野村総合研究所 未来創発センター グローバル産業・経営研究室室長

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もり たけし / Takeshi Mori

専門はデジタル・エコノミー、グローバル経営。共著書に『デジタル資本主義』(2019年度大川出版賞)、『2010年のアジア』、『2015年の日本』(いずれも東洋経済新報社)など。

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