東芝機械、村上ファンドに勝っても不安なわけ 坂元社長「われわれの中期計画は評価された」

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静岡県沼津市で開かれた東芝機械の臨時株主総会(記者撮影)
3月27日に東芝機械が開いた臨時株主総会で、村上世彰氏の運営する投資会社(以下、村上ファンド)が実施している株式公開買い付け(TOB)に対する東芝機械の買収防衛策が、62%の賛成を得て可決された。
機関投資家は当初、買収防衛策に否定的だとみられていたが、3月中旬に議決権行使助言会社のISSが「防衛策の導入に賛成」と推奨したことを契機に情勢は大きく変わり、結果的に東芝機械が勝利した。
村上ファンド側は買収防衛策が可決された場合にはTOBを撤回することを表明しており、東芝機械の買収防衛策は発動されない見通しだ。
ただ、勝利したとはいえ、村上ファンドが突き付けたガバナンスの問題や今後の成長戦略に問題がないというわけではない。東芝機械は4月1日に「芝浦機械」に社名変更し、新たなスタートを切ると意気込む。
今後どのように会社を経営していくのか。総会前に引き続き、東芝機械の坂元繁友社長に改めて尋ねた。

最後まで勝てると思っていなかった

――臨時株主総会の結果は予想通りでしたか。

先日のインタビューでは強気なことを言ったが、実際には50%少し超えるくらいのぎりぎりの攻防だったという実感で、最後まで勝てるとは思っていなかった。

2月4日に中期経営計画を発表して以降、機関投資家に改革プランを説明しにいったが、当初は買収防衛策に対して厳しい意見が多く大変苦労した。特に日本の投資家の反応は堅かった。3月中旬以降になり、ISSや(村上ファンドを除くと筆頭株主となる)ブラックロックが賛同してくれたことが追い風になり、中でも海外投資家から高い賛成率が得られた。

――62%の賛成という結果をどのように受け止めますか。

まず、買収防衛策のベースとなる論点として、自己株買いを行い、短期的に株価を上げてリターンを取るというやり方と、われわれのように設備に投資をして中長期的に企業価値をあげていくやり方のどちらがいいかという論点があった。そういう意味で、(中長期的に企業価値を上げていくことを狙いとする)われわれの中期経営計画は信任されたと思っている。

それを達成するために(村上ファンド側の)TOBにどのように対処するかが今回の臨時株主総会の議題だった。スチュワードシップコードを厳格に持つ投資家もいるので(議決権行使の)読みは難しかったが、今回導入した買収防衛策は対象と期間を限定した例外的な措置であり、通常の買収防衛策とは違うということが認識され、なんとか62%の賛成を得られた。

一方で、38%の反対意見がある。買収防衛策に対する反対だけでなく、TOB価格と市場株価の乖離を看過できないという個人投資家もいただろう。きちんと分析して意見を聞き入れていかないといけない。

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