東芝機械、村上ファンドに勝っても不安なわけ 坂元社長「われわれの中期計画は評価された」

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――TOBの提案を受けた後に導入する、有事導入型の買収防衛策はガバナンス改革に逆行するのではないかという声もあります。

このような措置は乱発されるようなものではない。対象や期間が限定的で、実質的に経営権を握るのに経営方針を示さないというまれなTOBの形態だから通った。1つでも条件が変われば通らなかった。

ISSもブラックロックも世の中への影響度はないという判断で賛同されたと思う。

村上ファンドと話はかみ合わなかった

――村上ファンド側との書簡のやりとりを見ると、東芝機械と話がかみ合っていないようにも見えました。

おっしゃる通り、話がかみ合わなかった。TOBに関していろいろ質問したが、(村上ファンド側から)明確な回答がなかった。(われわれが)本質的に求めていた回答の1つは、TOB後の経営方針だ。

われわれはTOBやM&Aが嫌だとは思っていない。事業計画が示され、シナジーが生まれるものであれば受ける可能性も当然ある。だが、TOBをした後にどうするのかというのがまったくなかった。

もう1つは、外為法に関することだ。われわれは(工作機械などの)戦略物資を扱っている会社なので、(公開買付者に関する情報を)開示してくださいというお願いをし続けた。不確かな株主がいるだけで商売ができなくなる。

――今回の教訓は?

自分たちの事業をしっかりやらないとだめだということだ。買収防衛策をいくらやろうが、自分たちの事業ができていない限り何を言ってもだめということが、身に染みてわかった。

――村上ファンドが入ってきてそれを痛感したと?

彼らが入ってきてからというよりは、(2017年に)東芝グループから離脱して株主構成が変わってからだ。以前は親会社の東芝がいいといえばそれでよかった。東芝のブランドがあると、銀行から安定して借り入れができる。海外でも東芝のブランドがあれば必ずドアを開けてくれる。

そういう、すごいメリットの中で暮らしてきたが、東芝から出るとそういうのが一切なくなる一方で、株主から収益率に対する要求も強くなった。

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