東芝機械、村上ファンドに勝っても不安なわけ 坂元社長「われわれの中期計画は評価された」

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――2019年3月期は、売上高販管費比率が業界平均より7%も高いなど、収益性の低い状態が続いたのはなぜでしょうか。

構造的な問題があった。顧客と共同で生産設備を開発して顧客の(製品の)付加価値を高めるという、高度経済成長期のやり方は小回りの利く事業部制が適していた。

株主総会後に記者に囲まれる東芝機械の坂元繁友社長(記者撮影)

顧客がグローバルに(事業を)展開するようになり、日本で成功している生産ラインをそのまま海外で作ってほしいという要望が出てきて、ボリュームで商売をするようになったが、間接部門の多い事業部制では競争力を上げられなかった。

変化に早く対応しないといけなかったが、80年続けてきた仕事を変えるのはそう簡単ではなく一歩出遅れた。その中で村上グループにTOBをかけられた。

経営陣の首をかけて中計を達成する

――新しい中期経営計画では、2023年度に営業利益率を8%、ROEを8.5%へ引き上げる高い目標を掲げています(2019年3月期実績は営業利益率が3.3%、ROEが5.0%)。

今度の中計の達成には、(経営陣の)首をかけている。対抗策の承認を得られたということは、裏を返すと我々の経営改革プランが信任されたということだ。やはり、そこは約束を守らなければいけないという覚悟を、(総会後の)取締役会で改めて話した。

――新型コロナウイルスの影響は小さくないと思いますが、それでも達成できますか。

すでに中国は(工場の)稼働状態が90%くらいになってきており、早い回復が期待できる。また、われわれの機械は受注から納入までの期間が1~2年と長い。顧客は新型コロナが収束し、在庫がなくなれば生産をしなければならないので、装置メーカーであるわれわれには少し早めにオーダーがくる。そこを逃さなければ、経営計画の数値はある程度キャッチアップできる。

田中 理瑛 東洋経済 記者

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たなか りえ / Rie Tanaka

北海道生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。報道部、『会社四季報』編集部を経て、現在は会社四季報オンライン編集部。食品業界を担当。以前の担当は工作機械・産業用ロボット、ドローン、医療機器など。趣味は東洋武術。

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