LINE、300億円で「出前館」を取り込む真の狙い

コロナ危機で需要爆発、外資競合にどう勝つ

国内の出前サービスでは現在、出前館がトップシェアを誇るとみられる。ただ、これを強力なライバルが猛追する。アメリカの配車サービス・ウーバーの日本法人が運営する「ウーバー イーツ」がテレビCMなどを駆使し、首都圏中心に存在感を高めるのに加え、4月からは中国の配車サービス・ディディの日本法人が「ディディ フード」の試験運用を大阪で開始する。これらの企業は本社を含めれば、開発人員や資金力で出前館を圧倒する。

出前館の中村利江社長は、6月に代表権を維持したまま会長に就く(写真は2020年1月のインタビュー時のもの、撮影:今井康一)

経営資源の差を埋めるための策が、既存株主でもあるLINEとの提携強化だ。今回、LINEは出前館に300億円の出資を行うとともに、約50人の開発人員を派遣する。まずは年内をメドに「出前館」とLINEの出前サービス「LINEデリマ」(加盟店や配送の基盤は出前館が運営)のブランドを「出前館」に一本化する。

その後、出前館とLINEのユーザーIDを統合し、国内8300万のLINEユーザーが面倒な手続きなしで「出前館」を利用できるようにする。

LINEがここまで踏み込む理由

出前館からすれば、今回の提携強化は資金力・開発力の面で抱えていた不安を解消できる好機といえる。ではLINEはなぜ今、ここまで出前館の育成にリソースを割くのか。その背景には、LINEが最重要戦略に掲げる「Life on LINE」(LINEアプリをより日常生活に密着したアプリに進化させる)構想がある。

メッセンジャー(友人や家族との連絡手段)アプリとして国民的サービスに成長したLINEだが、近年は新聞社や出版社などと提携するニュース配信「LINE NEWS」、実店舗やネット通販(EC)で利用できるスマートフォン決済「LINE Pay」など、日常生活の中で利用頻度の高い機能を幅広くそろえてきた。

生活密着の多機能アプリ「スーパーアプリ」を創造しプラットフォーマーとしての存在感を高めようとするのは、IT・ネット大手に共通する潮流だ。具体的には、中国の「ウィーチャット」や「アリペイ」、インドネシアの「ゴジェック」などがLINEに先行する。利用者からすると、スーパーアプリには分野特化型のアプリをいくつも使い分けなくていいメリットがある。企業からしても、利用者接点が多く集客力の高いアプリは広告出稿先などとして魅力的だ。

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