今なら日本の「医療崩壊」は食い止められる 岡部信彦・川崎市健康安全研究所長の提言

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――現状では、軽症患者を指定感染症病院以外に移せないのでしょうか。

感染症法では、指定医療機関ではないところへ入院できることになっているが、そうされていないのが現状だ。回復しているが、PCR陽性の人を一般病院や自宅、宿泊施設のようなところに移してもいいのではないか。

岡部信彦(おかべ・のぶひこ)/新型コロナウイルス感染症対策専門家会議委員、川崎市健康安全研究所長。専門は小児科・感染症対策。1971年、東京慈恵医科大医学部卒業。WHO西太平洋地域事務局伝染性疾患予防対策課長、国立感染症研究所感染症情報センター長などを経て現職(記者撮影)

新型コロナウイルスで重症化するのは感染者の約2割。8割は軽症のまま治る。人工呼吸器が必要なのは5%程度で、人工心肺装置を使わなければいけない重度の肺炎患者はさらに少ない。

ただ、これはインフルエンザよりも多く、高度な機械を使う専門的な医師数は限りがあるため、こうした病院にはできるだけ重症者を集めるようにすべきだ。人工呼吸器も必要なく、様子を見るだけでよい人は一般病院や自宅療養でいい。

――院内感染が起こり、診療を中止した中核病院もあります。医療崩壊を防ぐために何が必要ですか。

1つの病院が救急も重症者も受け入れ、外来もたくさん診ることはできない。それを求められているのが国公立病院などの中核病院だが、医療崩壊を防ぐには重症度別に患者を分け、役割分担をすることが必要だ。新型インフルエンザの行動指針に沿う形で、医療機関の役割分担がすでに可能な自治体もある。しかし、実際の費用負担や防護服など感染予防に必要な道具が足りないなどの課題を抱えている。

まずは早急に人材の確保を

――専門家会議の提言では、地域の患者集団(クラスター)対策を指揮する専門家を支援する人材の確保や、保健所への人員と予算の投入を挙げています。

2009年の新型インフルエンザ発生時に強く提言したのが、疫学調査やクラスター対策を指揮する人材を各自治体に集めなければいけないということだ。

だが、人材は増えず、むしろ減っている。例えば、国立感染研究所は(研究者の)定員削減のあおりを受けている。自治体の保健所や衛生研究所も、統合や部署縮小で危機的時に対応できる経験豊かな人が少ない。今、保健所は対応に追われ、疲弊している。まずは早急に人の手当をしなければならない。

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