首都封鎖の可能性浮上でよみがえる「小池劇場」 五輪延期で7月の「知事再選」はほぼ確実に

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「安倍首相と連携してIOCに決断させた五輪延期を素早く再選戦略につなげたあたりは、政界風見鶏の面目躍如」(自民長老)で、犬猿の仲と言われた森氏とも手を握り、首相とともに東京五輪開催を成功に導けば、小池都政の最大のレガシー(政治的遺産)ともなり、「名都知事」との称号にも手が届く。

小池氏は26日夜、官邸を訪問して安倍首相と会談し、都内での感染者急増を踏まえて、空港での検疫など水際対策の強化や、自治体への財政措置などを求める緊急要望書を手渡した。会談で小池氏は「国の大きな力強い協力が必要」と力説し、安倍首相も「東京都と協力して一体的に支援していきたい」と応じた。

オーバーシュートになれば政治責任も

要望では、感染拡大に備える改正新型インフルエンザ等対策特措法の運用も求めており、小池氏は会談後、首都封鎖の前提になるとみられる特措法上の緊急事態宣言についても政府と都の緊密な連携を確認したと強調した。

ただ、日本国内で出入国者数が断然多い東京で当初、感染者数が少なかったことについて、「五輪中止を懸念して都がPCR検査をあえて抑制していたのでは」との疑念も広がっていた。東京の1日当たりの感染者数が五輪延期決定後に急上昇していることについて、野党側から「違和感がある」(立憲民主幹部)との声も相次いでいる。

今後、仮にオーバーシュートに至れば、都政を仕切る小池氏の初動の遅れを批判する声が強まる可能性もある。首都封鎖で日本経済が壊滅状況ともなれば小池氏の責任も免れず、安倍首相とともに政治責任を問われかねない。

こうしてみると、今回の小池氏の存在アピールと再選戦略の成功が、そのまま「五輪開催知事」という華麗な記念碑につながる保証はない。「首都封鎖でもコロナの収束に時間がかかり、ニューヨークのような医療崩壊ともなれば、2021年の五輪も中止という最悪の事態もありえないわけではない」(閣僚経験者)との見方は少なくない。

その場合は小池氏の野望も水泡に帰すだけに、今回の小池劇場の結末はまだまだ見通せないのが実態だ。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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