コロナ大打撃で露呈した百貨店ビジネスの岐路

訪日客依存の終焉、今後必要な改革は何か?

これから先、百貨店業界は、自社・自店に訪れるリアルのお客様を分析し、来られるエリアとそのお客様に必要なMDの提供(ローカライズ&カスタマイズ)することでしか生き残れません。

「いやいや、現在精一杯やっている」と百貨店関係者は思うかもしれません。それが間違っているのです。できているのであれば、百貨店業界は既存売上前年割れの継続およびEC化率(1%前後)の低迷は少なくともないはずでしょう。

続いて、目に見える顕在需要のみでなく、今まではなくても良かったけれど、あればもっと良いというMDの開発とお客様へのお伝えにより、既存顧客に向けた潜在需要の掘り起こしも必要です。

現在の百貨店売上高は小売業全体の4%にしかすぎず、すでに6兆円を割ってきています。ピーク時の3分の2以下になりました。そこで百貨店は既存客に加え、他の購買層に手を伸ばそうとしています。そこで注意することがあります。

現時点で、百貨店で衣食住をすべて購買できる層というのはすでに確保できています。彼らは親も百貨店顧客であり、富裕層に該当している人たちです。ただ、その下の中間層はまだまだ取り込めていません。日本は格差社会の拡大で、二極化に向かってはいるのですが、所得水準が一定以上ある中間層も多く存在しているのです。

百貨店顧客になりうる中間層とは

つまり、衣食住のうち、1つのカテゴリーのみ百貨店で購入され、それ以外は違う業態で購入されているような人が中間層といえます。例えばユニクロの店舗にベンツで行ったり、百貨店に行くけれど食品はスーパーで購入したり、衣料品でも外着(アウター)は百貨店で下着はGMS(総合スーパー)で購入しているといった人たちです。

この中間層は先程申し上げたMDの付加価値(接客を含めた)を高めれば、価格が高くとも百貨店グレードの商品を十分に購入できうる層といえます。この人達への訴求が不足している以上、重要課題といえるでしょう。

そして、その他の最初から百貨店を買い物のターゲットに置いていない層は自社・自店顧客のターゲットから外すべきといえます。つまり自社・自店の地域で百貨店に1年間で1度も行ったことがない、中元・歳暮やギフトでも百貨店を利用していない人たちです。

人間は「良しあし」よりも「好き嫌い」の感情で動く生き物です。百貨店を好きか嫌いかで判断しているのです。なので、そう簡単に習慣を変える事はほとんどありません。今回のコロナショックでのトイレットペーパー買い占め騒動に踊らされた人たちはどういった人たちだったでしょうか? オイルショックから何も学んでいないのです。

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