転換期を漂う格闘技界、ブーム再燃を目指す“戦極”の挑戦と厚い壁
「真剣勝負で戦う人を応援するのが企業文化。選手育成はCSR(企業の社会的責任)だと考えている」と高橋光夫ドン・キホーテ専務。今年2月には有望な新人選手を発掘すべく、5つの格闘技ジムで合同トライアウトを開催。ドン・キホーテ主催で若手選手の大会も開くなど、裾野を広げる取り組みは続く。
今年6月に北京五輪金メダリストルの石井慧選手を獲得したのに続き、翌月にはアテネ五輪銀メダリストの泉浩選手とも契約を結ぶなど、話題性ある選手の獲得も進む。第一陣から1年半。イベント入場者数は今年から上昇基調に転じ、業界の常識を打ち破る新たな団体として、手応えは着実に増しつつある。
だからこそ、バックアップする地上波放送局を獲得できないことが、戦極の前途に決定的な壁となって立ちはだかる。新しいファン開拓で差がつくことはもちろん、テレビ局の放映権収入なしで格闘技イベントの運営を継続するのは極めて難しい。有名選手なら1試合のファイトマネーは数千万~1億円を超えると言われる。十分な資金を確保できなければ、せっかく育て集めた選手が海外などに流出する危険性もある。現在はドン・キホーテが支えているが、早期にスポンサー探しに決着をつけなければ、存続は危ういのだ。
今年大みそかのDREAMとの団体対抗戦。単独での開催こそかなわなかったが、両者が初めて手を組む大イベントに、運営するWVRの稲村角雄営業統括本部長は「これが起爆剤となり、両団体が盛り上がればいい」と期待を込める。健全なメジャースポーツを目指すという、長く困難な道のりの最初の関門だ。
(田邉佳介 撮影:吉野純治 =週刊東洋経済)
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