転換期を漂う格闘技界、ブーム再燃を目指す“戦極”の挑戦と厚い壁
戦極が目指すのは「格闘技のメジャースポーツ化」だ。危険、野蛮といったイメージを脱却し、「野球やサッカーのように健全なスポーツとして発展させたい」(福田会長)という思いがある。それはこれまでになかった新しい格闘技団体の姿だ。
そのために運営体制も整備した。井上幸彦元警視総監など識者を迎え、第三者によるコミッション委員会を組織。大会規則の決定や違反を犯した選手の処分など、運営に対する監視・助言機関を設けることで、戦極は透明性をアピールした。
ルール面でも過去の事例を分析し、顔面へのひじを使った攻撃(UFCでは可)や、倒れ込んだ状態の相手の頭部を蹴る行為(プライドでは可)を禁止にした。より競技性を重視したルールへと変えたのだ。
さらに、日本オリンピック委員会副会長でもある福田氏を筆頭に、格闘技団体を統轄する「日本総合格闘技協会」を新設。国内外の団体に加盟を呼びかけ、競技ルールの統一を図ることで、将来は五輪種目入りを目指すという壮大な絵を描く。
08年3月。旗揚げ戦となる「第一陣」には吉田秀彦選手や五味隆典選手など、プライドで活躍した選手が登場。会場となった代々木第一体育館にはファン1万5000人超が詰めかけ、好スタートを切った。戦極に遅れること10日、プライドとFEG社のイベント「HEROS」の大同団結による「DREAM」も発足。強力なライバルとともに、日本の格闘技界がついに動き出した。