オバマは”KYな安倍”を説得できるか? 4月の訪日がチャンス

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「謝罪疲れ」が広がっている

――安倍首相を動機づけているものは何だと思いますか? 中国の台頭ないし米国の信頼性に対するイデオロギー上の信念、あるいは戦略的な懸念でしょうか。

何よりもまず個人的な信念だろう。安倍首相は第2次世界大戦中の日本の行動について、深く根差した信念をもっている。彼の認識では、戦後、日本は近隣諸国に対して平身低頭しなければならなかった。それについて彼は憤懣やるかたないと思っている。また歴史問題について、米国内にも共通認識があることを過小評価している。緊張が高まっているのは、隣国との関係だけとは限らない。

安倍首相の靖国参拝や歴史問題へのスタンスは、国内政治の読みからきているとは思えない。彼は支持率の上下をあまり気にしていない。政治アナリストの中には、安倍首相は自分の政治支持勢力をなだめるためにそういう立場なり行動を採っているという説もある。しかし、彼はいろいろな意味で自分の政治基盤をよくわきまえている。そうかといって、歴史問題や靖国参拝に関して、彼の政策を支持する世論が高まっているわけではない。

日本には声高で騒々しい少数の右翼がいる。しかし、多くの有権者を代表してはいない。日本の主流派は依然として比較的穏健派であり、どちらかといえば、安倍首相の歴史に関する見方に失望している。また、彼は自分のナショナリズムの戦略的意味合いを考え抜いているとは思えない。グランドデザインもない。日本が防衛・外交政策の面で米国から独立しようとするメッセージは、米国政府に伝えられてはいない。しかし、安倍首相はそのことを個人的な見解として残念に思っている。

日本は日中、日韓の歴史問題で繰り返し前言を撤回している。いわゆる「謝罪疲れ」が右翼グループだけでなく主流派にも広がっており、安倍首相はそういう感情に乗じている。そこまでは安倍首相もはっきりした目的を持っている。彼は日本人が自分自身や自分の国に対する従来の見方を変え、もっと歴史紛争について日本人らしい気骨を見せてほしいと思っている。

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