ただ、こうした拠点が本格稼働して各社の収益に寄与するには時間がかかる。日通総研の佐藤氏は、「少なくとも今後1年はプラス材料が少なく、路線トラック各社は荷動きが厳しい状況が続きそうだ」と分析する。
路線トラック各社の業績は2017年ごろからしばらくの間、好調だった。ドライバー不足に伴う人件費や外注費の上昇を受けて、1割以上の運賃値上げを進めてきたからだ。例えば、2019年3月期の運賃(キログラムあたり単価)は、セイノーHDが前期比6.9%、福山通運も同7.9%引き上げ、値上げが業績を底上げしてきた。
荷主の路線トラック離れが起きている
路線トラック各社が担っている中長距離の輸送を担える事業者は限られる。そのため、「運賃を15~20%値上げしてきたとしても、荷主側は受け入れざるをえなかった」とある業界関係者は明かす。
【2020年4月6日20時02分追記】中長距離輸送に関する初出時の記述に、一部不正確な点がありました。お詫びの上、上記のように修正いたします。
ところが、運賃値上げを進めたことで、2018年ごろから荷主の路線トラックではなく、中小運送業者に配送委託を始めた。そうした中、2019年10月以降は値上げ以上に荷物量が落ち込んでしまった。船井総研ロジの赤峰誠司取締役は、「地場の中小運送事業者でも対応可能な近距離の荷物を中心に、荷主の間では『路線トラック離れ』が起きている」と指摘する。
路線トラック離れに消費税増税が重なったところへ、コロナショックが追い打ちをかけた。路線トラック各社はこの「三重苦」を乗り越えることができるのだろうか。
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