路線トラック各社はそもそも、2019年10月に実施された消費増税の影響を受けて厳しい局面に立たされていた。消費増税後の個人消費の落ち込みを受け、荷物の輸送量も急減。国土交通省によると、2019年10~12月期の路線トラックの荷物量は前年同期比で5.4%減となった。
日本経済と荷物量の分析・予測を専門とする日通総合研究所の佐藤信洋プリンシパルコンサルタントは、「消費増税で日本経済全体が景気後退入りした。路線トラックの荷物量は、2011年の東日本大震災直後以上の落ち方をしている」と指摘する。
3PLに活路求める
大手路線トラック4社のうち、トナミ運輸の親会社であるトナミホールディングスと福山通運は業績予想を変えていない。福山通運は2020年3月期の営業利益は202億円(前期比3.7%増)と増益を見込んでいる。だが、同社の桑本聡常務執行役員は「消費税増税と暖冬で荷動きが想像以上に悪く、2021年3月期の上期までは苦しい局面が続きそうだ」と危機感をあらわにする。
顧客の流出が進む中、路線トラック各社は3PL(サードパーティーロジスティクス、物流の一括受託)事業の強化に活路を求めている。在庫保管などの物流業務を委託する荷主が増えており、倉庫一体型の拠点を増やすことで旺盛な需要を取り込む狙いだ。
ロジスティックス専門誌ライノス・パブリケーションズによれば、国内の3PL市場規模は3兆円を超えており(2018年度)、2010年度から右肩上がりで伸び続けている。
セイノーHDは、トラックターミナルを併設した倉庫拠点を拡充。東京・深川支店(2021年2月竣工予定)と茨城・龍ケ崎支店(2022年1月竣工予定)を建設する。中長期的には新たに13拠点を開設する計画で、用地交渉中のものも含めると投資額は総額619億円にのぼる。
福山通運も倉庫一体型拠点の開設を進め、2020年1月に静岡・浜松市で拠点を開設したほか、3月下旬には愛知・一宮市の新拠点が竣工する予定だ。2021年3月期には関東などのシェアの低いエリアで4拠点を新設する。
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