「ベンツ乗りの浪費家」が結婚で到達した新境地

14歳下の「対等な妻」がもたらした価値観

「私が婚活を始めたのは38歳のときです。それまでは結婚を考えていなかったけれど、その年になって同世代の女性がどんどん結婚していくので焦りました。男友達もたくさんいましたが、誰も私とは結婚する気はなさそうです。婚活をして、40歳になるまでに結婚したろ、と思いました」

ロックなどの音楽に造詣が深い幸恵さん。レンタルショップでアルバイトをしながら、関西のバンドマンたちを応援するのがライフワークだった。バンドマンやファンの女性たちとの交遊関係が広く、みんな独身で楽しくやっていたのだ。ただし、いつまでも若いわけではない。1人、また1人と結婚してそれぞれの生活に入っていくのを見ると焦りが募った。

そして、幸恵さんも婚活サイトに登録をし、将司さんと出会う。初期の印象は、「玉のこしが来た!」だったと幸恵さんは笑う。

「ベンツのオープンカーで迎えに来たんです。オシャレなレストランに連れて行ってくれて、私の誕生日にはMacBook Proを買ってくれました。どんなお金持ちなんだろ、これは何が何でも私の(オタクで社交的な)本性を出したらアカン、と思いましたね」

将司さんへの疑問もあった。プロフィールには45歳と書いてあるが、明らかにもっと年上である。実は8歳も年齢を詐称していたのだ。将司さんは「50歳以上と書くとアプローチしても返事をもらえないことが多かったので」と悪びれない。

将司さんは年齢詐称に加え、「借金まみれ」だった

付き合い始めてからは「お金持ち」も幻想であることがわかった。将司さんは後先考えずに買い物をしてしまう癖があり、マンションと外車のローンで「借金まみれ」だったのだ。

「貯金はほとんどゼロなんです! 本当に10万円もありませんでした。お前、なめんなよ~と思って、私たちの立場は逆転。しおらしくしていた私の声が大きくなったのはその頃からです(笑)。売れないバンドマンのプロデュースも堂々とするようになりました」

バンドマンの中には入れ墨だらけで金髪の「どヤンキー」もいる。プロモーションビデオを無償で撮影するなどの支援を惜しまない幸恵さんと彼らの絆は固い。それを目の当たりにした将司さんはびっくりしたものの、「顔が広い人だな~」と尊敬のまなざしを幸恵さんに向けるようになった。

「私はそのへんのバンドマンより音楽に詳しいオタクです。ロックの名盤100選とか、いくらでも語れます。結婚するまではCDを2000枚ぐらい持っていました。相手にそれがバレたら恋愛には発展しないと思っていたんです。でも、将司さんは逆に認めてくれて……。あなたはどんだけかわいいの~!」

音楽をはじめとするさまざまなことに好奇心と探究心を持ち、表現力もある幸恵さん。それが自信でもあり、女性としてはコンプレックスでもあったのだ。しかし、将司さんは対抗意識などは持たず、素直に尊敬してくれる。それが幸恵さんはすごくうれしく、将司さんへの愛情を隠さない。

「彼はいつもにこやかでピュア。他人の悪口も言いません。(アメリカ映画の主人公である)フォレスト・ガンプかお地蔵さんみたいな人なんです!」

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