「インド」のモーターショーで見た意外な車事情

スズキがシェア50%維持も韓国・中国勢が猛追

インドにおける乗用車シェアの2番手は韓国の「現代(ヒュンダイ)自動車」だが、昨年夏に現地工場を新設してインド参入を果たした現代傘下の「起亜(キア)自動車」も同じ広さのブースを展開(面積はマルチスズキの半分ほど)。

中国勢は、「GM(ゼネラルモーターズ)」のインド工場を買収した「グレートウォール(長城汽車)」が短縮したアルファベット表示である「GWM」という名称で参加し、そして「MG」も現代と同面積のブースを展開していた。

「上海汽車」の「MG」はヘリテージモデルを展示してブランドをアピール(筆者撮影)

MGのルーツはイギリスのスポーツカーブランドだが、現在は「上海汽車」グループ傘下で、イギリスに開発拠点を残すものの、実質的には中国の自動車メーカーとカウントしていいだろう。しかしながら、ブースはイギリスの街をイメージした雰囲気で、MGのクラシックカーを並べるなどイギリスの文化を強調していたのが印象的だった。

インドでは中国のイメージがよくないため、できるだけ中国を表に出さずに浸透しようと作戦を遂行しているようだ。

全長4m未満を優遇するマイカー政策

そんな中、インドにおいてマルチスズキが愛される理由はどこにあるのだろうか?

まずは、なんといっても品質だろう。機械としての「信頼性の高さ」と言い換えてもいい。日本の自動車メーカーが設計してクオリティコントロールを行っているゆえに、故障が少ないのだ。

マルチスズキは信頼性の高さで支持を得たうえで、現地のニーズや好みをしっかりとくみ取って現地化を施した。日本で売っているクルマを“現地でも売る”のではなく、「適応性」として現地に合わせた開発を行ったことで、人気を不動のものとしたのだ。

インドで販売される「ワゴンR」は日本とは異なるボディを持つ(筆者撮影)

さらに、コンパクトカーだけでも数車種をラインナップするなど商品が充実し、販売網も広くて細かい。日本におけるトヨタのような存在だと考えれば、わかりやすいだろう。他のメーカーがスズキに並ぶのは、並大抵のことではないことが理解できる。

コンパクトカーの充実と言えば、会場を歩いて気がつくのは、その数の多さだ。ハッチバックはもちろん、セダンやSUVも小型車がやたらと多い。

実は、その理由はインドのマイカー政策にある。全長4m未満のクルマは税制面などで優遇されていて、日本の軽自動車のような感覚なのだ。

ただし、街で見かけるのはハイトワゴンやセダンが多く、世界的なトレンドとなっているSUVはまだ少ない。そこでモーターショーでは、各メーカーがこぞって4m未満のSUVの新型車やコンセプトカーを展示していた。

スズキは現地のコンパクトSUV市場でシェア44%を誇る「ビターラ ブレッツァ」のマイナーチェンジモデルをお披露目し、マヒンドラやタタ、そして韓国や中国勢も同ジャンルの新型車やコンセプトモデルを披露した。みんな力が入っているのだ。インドは道が悪い場所も多いだけに、数年後にはコンパクトSUVが街にあふれてきそうだ。

ところで、欧州勢はどうだろうか。

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