スズキ「スペーシア」、NーBOXと全く違う戦い方 2018年末に車種を追加し、王者ホンダに対抗

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スズキが2018年12月に発売した「スペーシア ギア」。軽ハイトワゴンをアクティブに使いたいユーザーに対し、SUVデザインの新しいスタイルの車として提案する新車種だ(写真:スズキ)

スズキの軽ハイトワゴンであるスペーシアに、2018年12月、「スペーシア ギア」と呼ばれる車種が追加発売された。これによりスペーシアは、標準車としての「スペーシア」のほかに、フロントグリルを強調した「スペーシア カスタム」、そして今回の軽SUVハスラーに通じる丸目(丸い形状のヘッドライト)をフロントグリルに用いたスペーシア ギアの3つの個性から選べるようになった。

”打倒タント”を掲げたクルマづくり

スペーシアの前身は、「パレット」である。パレットは、ダイハツ「タント」の対抗車種として2008年に誕生した。しかし、子育て家族のための軽自動車として2003年に登場したタントの人気を覆すまでには至らず、わずか1世代でスペーシアに後を委ねたのである。

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スペーシアは打倒タントを目指し、徹底的に子育て中の家族を調査することにより、広々とした室内の実現と、実用的な物入れを車内に配置するだけでなく、室内が整理されて見えるような収納の見栄えにもこだわった。走行性能においても、軽自動車で最も背の高い部類に入る車種として、街角を曲がるといった際に重心の高さによるふらつきを抑える操縦安定性が作り込まれた。その出来は、タントを上回っていたといえる。

2017年にはパレットでは果たせなかったフルモデルチェンジを実現し、2代目へと進化を遂げた。すべての車種がISG(モーター機能付発電機)を装備するマイルドハイブリッド車となった。ダイハツがなお手をこまぬいている電動化を採り入れることにより、燃費などの環境性能はもちろん、発進や加速でモーターを活用することにより、乗り心地の上質さもスズキは手に入れている。また、運転の安心をもたらす操縦安定性もスペーシアは初代を継承し、毎日安心して使える軽ハイトワゴンとなっている。

そこまでスズキは手を尽くしてきたが、軽自動車販売台数で2017年も2018年も、ホンダ「N-BOX」に1位の座を奪われることになった。

ホンダN-BOXは、2011年に誕生しており、タントやスペーシア(前型パレット)のみならず三菱や日産の軽と比べても最後発となる軽トールワゴンである。しかし、ダイハツやスズキが永年軽自動車を作り続けてきた発展形と違い、軽自動車とは無縁かつF1にも関わったこともある技術者が開発するという着想の違いにより、目先の変わった軽ハイトワゴンとして登場し、それが消費者の目に新鮮に映ったのだろう。

初代はともかく、2代目のN-BOXに比べスペーシアのほうが明らかに質の高い仕上がりで、運転への安心や、マイルドハイブリッドなどによる環境対応はスズキのほうが進んでいる。だが、スペーシアの2018年の販売台数は15.2万台(前年比45.2%増)と軽4輪車の中では年間2位。1位となったN-BOXの24.1万台(同10.7%増)には遠く及ばなかった。

その年間販売台数の集計が出される直前、スペーシア ギアの発表が行われた。

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