苦境の「ビッグイシュー」4月から値上げの理由 コロナ影響し、直近1カ月の販売数は2~3割減
ホームレス状態になった人が、自立を目指して路上で販売する雑誌「ビッグイシュー日本版」(月2回刊行・1部350円)の売れ行きがピンチだ。
背景には、路上生活者(ホームレス)の数が大きく減ったことがある。さらに新型コロナウイルスの影響で、直近1カ月(2回分)の販売数は2〜3割も減少しているという。
こうした状況の中、版元の「有限会社ビッグイシュー日本」(佐野章二共同代表、水越洋子編集長・共同代表)は今年4月から、1部100円の値上げに踏み切る。
売上げの半分が「路上生活者」の収入になる
ビッグイシューはイギリス発祥の雑誌で、「路上生活者(ホームレス)の仕事づくり」(佐野代表)として、ビッグイシュー日本が2003年9月から「日本版」を発行している。
都心部の駅前などを中心に路上生活者が販売している。その売上げの半分が、路上生活者の収入になるという仕組みだ。
水越編集長によると、当初は、大手マスコミがあまりとりあげない自殺、依存症、貧困、非正規などをテーマとして、「社会に置き去りにされている人たち」を取材してきた。
2011年3月11日の東日本大震災以降は、これらに加えて、エネルギーや食料、教育、医療などの実践的提案型の事例をとりあげる誌面づくりをおこなっているという。