苦境の「ビッグイシュー」4月から値上げの理由 コロナ影響し、直近1カ月の販売数は2~3割減

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最盛期は、1号あたり約3万部を売り上げていたが、現在は平均2万部前後となっている。背景には、路上生活者(ホームレス)が減ったことがある。

ここ10年で、販売者の数が減り(約180人→約110人)、そのまま部数も減ってしまったというわけだ(1人の1号あたりの販売数は150〜200部)。

つまり、ビッグイシューの活動の成果が上がれば、赤字が増えるため、佐野代表は「ビッグイシューのジレンマ」と呼んでいる。

2018年度の決算は、寄付などから営業外損益が約2600万の黒字になったが、営業利益が約1000万の赤字だった。2015年度から17年度も経常利益の赤字が続いていた。

こうした赤字の構造を変えようと、ビッグイシュー日本は今年2月、次のような3つの方策をすすめることを決めた。

(1)これまで販売員がいた地域も含めて、通信販売による定期購読や、委託販売をすすめる
(2)4月1日から、販売価格350円を450円に値上げする
(3)価格改定のタイミングで、路上生活者だけでなく、生活に困窮している人も販売できるようにする

佐野代表は3月18日、都内で記者会見を開いて、「このまま赤字が続いたとしても、廃業しないための知恵を培ってきた。現在も3桁(約110人)の販売者がおり、『がんばります』というのが、私の立場だ」と語った。

新型コロナの影響も

佐野代表によると、2019年度の売り上げは改善していたが、新型コロナウイルスの影響で、2月後半から1カ月の販売数は2〜3割も減少しているという。

さらに新型コロナのあおりで、世の中の景気も悪化している。今後、失業者が増えるおそれもあり、「一時的に生活に困っている人も受け入れたり、福祉につなげるなど、相談先になることも考えている」(佐野代表)という。

東京・日比谷で、ビッグイシューの路上販売をしている島田肇さんは「イベント中止で人通りが減った」とこぼしながらも、嫌がらせなどはなく「応援するよ」と声をかけられることが励みになると話した。

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