欧州パンデミックに放ったラガルド・バズーカ 金利の抑制へ、大規模国債買い入れが流行か
日本時間の19日早朝、ECB(欧州中央銀行)は緊急電話会議を開催し「パンデミック緊急購入プログラム」(PEPP:Pandemic Emergency Purchase Programme)と称する7500億ユーロの資産購入に踏み切ることを決定した。
金利急上昇で7500億ユーロのバズーカ
ECBは3月12日に追加緩和策を決定したばかりだが、イタリアを中心とする感染拡大がフランスやスペインにも及ぶ中、域内金利が広範に上昇し始めていたことへの措置と考えられる。もとより財政状態が良くないイタリアは急上昇したが、ドイツまでもが金利上昇に直面しつつあった。ちなみに金利上昇に転じたのは米国、日本も同様であり、パンデミックが起きる中で政府部門の財政負担が増し、金利が上がるという連想が働くという非常にまずい動きが見られている。
このような債券市場の変調が始まったのがちょうど12日の定例会合後なので追加対策の必要性を思い立っても不思議ではない。定例会合で決定された1200億ユーロの増額が「主として民間資産が寄与する」と述べていたことも新しい政策が必要になった背景にあるだろう。厳密には、ラガルドECB総裁は自身の定例会見での失点を取り戻すべく、会見後のCNBCのインタビューを通じて国債も購入する意志を改めて表明はしていたのだが、効果はほとんどなかった。
なお、補足をしておくと、同会見でラガルド総裁が「ECBは国債利回りを抑制するために政策を行うわけではない。それはわれわれの機能や使命ではない。そうした問題を処理するための別の政策や別の役者がいる」と失言したことが大騒ぎの発端となっていたのである。しかし、裏を返せば3月12日の時点ではまだそのようなことがいえる余裕があったということでもある。たった1週間で状況は一段と悪化したということだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら