ソフトバンクグループ、大型資産売却の思惑 自社株買い5000億円「原資ねん出」のため
平田紀之
[東京 18日 ロイター] - ソフトバンクグループ(SBG)<9984.T>による大型資産売却の思惑がくすぶっている。先日決めた自社株買い5000億円の「原資」ねん出のためだ。株式市場では好感される自社株買いだが、クレジット市場にとっては財務のバランスを崩しかねない危険な選択であり、早期の資産売却による資金創出が期待されている。相場が不安定な中で、すんなり売却できるかは見通しにくい。
クレジットと株式で割れる市場の受け止め
SBGの孫正義社長は、実質的に投資を本業とする会社に生まれ変わったと話す。自社株買いに前向きの姿勢を示しつつ、規模や時期は社債の格付けへの影響に配慮する考えも示していた。
投資会社を見る際、クレジット市場では純負債の保有株式に対する比率であるローントゥーバリュー(LTV)率が重要視される。SBGは、通常時に25%未満、異常時でも上限35%で運営する方針を示している。 足元のLTVは19%付近で、まだのりしろはある。ただ、相場が不安定な中では、保有株の株価が下落しLTVが下押しされかねない。これに加えて、LTVにネガティブな自社株買いにも乗り出した。
S&Pグローバル・レーティングは17日、SBGの長期発行体格付けを「BB+」で据え置く一方、アウトルックを「安定的」から「ネガティブ」に変更した。相場急落の中での大型自社株買いで、財務健全性と格付けを重視する姿勢に疑問が生じたとしている。
一方、株式市場は自社株買いを歓迎。追加の自社株買いにも期待を寄せる。同社株を取得している米ヘッジファンドのエリオット・マネジメントが2兆円規模の自社株買いを要求していると伝わっており、さらなる自社株買いへの思惑も根強い。
SBGは自社株買いの目的に株主還元の充実を掲げつつ、株主価値と株価の乖離も背景の一つとした。2月の決算発表時には株主価値25兆円に対し、時価総額約12兆円と開きがあった。