世界経済危機で経営者が犯しやすい10の過ち

コトラーが教える「乱気流」時のマネジメント

例をあげると、アップルがiTunes、iPodを発表し、全米に直営店をオープンしたのは2001年の不景気のときであり、景気が回復するや、ライバルを追い落として完全に返り咲いた。

ジレットの例もある。ひげそり用品の「センサー」ブランドを立ち上げたのは、1990年代初期の不景気の最中だった。1997年までには同社売上高の49%を、それまでの5年間に導入した新製品が上げるまでになっている。

また、インテルは、売上高の14%(2001年の利益の174%という途方もない額)を2001年の不景気時に投資し、もっと速く、もっと安く、もっと小型の半導体をつくる技術革新を目指した。そして予定よりも数カ月早く新製品を発売し、1996年以来最高の成長率を記録したと発表している。

アップル、ジレット、インテルのいずれも、景気乱気流期に企業が犯しやすい、新たな取り組みに関する過ちトップ10をひとつも犯していない。どの企業もそうあるべきなのだ。

経営者にいま求められる勇気

不透明な時代に判断を誤ると、単に金で済む問題ではなくなってくる。乱気流時代に価値の創造を忘れてしまうと、その企業が沈むだけでなく、そこで働いている社員も顧客も道連れにしてしまう。まずい決定や正しい判断力に欠けることがスパイラル効果となり、企業は安全な場所を目指して必死でじたばたもがく羽目になるか、悪くすれば、どうしようもない荒波にのみ込まれてしまうかもしれない。

業績が悪化するにつれ、つい厳しい経済環境のせいにしたくなる。しかし、最も厳しい時期であっても、ライバル企業の中には他社をしのいでいるところもあるわけだ。勝ち企業となって乱気流から抜け出る唯一の方法は、そのタイミングをつかむことである。つまり、手堅く現実的な決断を下すことで、自社と自社製品が努力次第で生き残れる、ひょっとすると繁栄すらできるチャンスをもたらすのである。

乱気流経済で繁栄するには、単なる運や直感だけでは無理である。必要なのは、新しいものの見方、本腰を入れた計画、正しい戦略、そして、長年の時流に逆らって進む勇気である。

マーケットの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 非学歴エリートの熱血キャリア相談
  • 新型コロナ、長期戦の混沌
  • 不安な時代、不機嫌な人々
  • Amazon週間ビジネス・経済書ランキング
トレンドライブラリーAD
人気の動画
「睡眠不足を甘く見る人」が払う体への代償
「睡眠不足を甘く見る人」が払う体への代償
保険営業 ノルマ未達なら「雇用契約打ち切り」の無惨
保険営業 ノルマ未達なら「雇用契約打ち切り」の無惨
ラーメン店の倒産ラッシュが必然でしかない事情
ラーメン店の倒産ラッシュが必然でしかない事情
攻撃的な人の態度を軟化させる絶妙なワザ
攻撃的な人の態度を軟化させる絶妙なワザ
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
人材戦略から儲けのからくり<br>まで コンサル全解明

人材の争奪戦が過熱し、年収水準もうなぎ登りに。デジタル化を背景にコンサルティング業界は空前の活況を呈しています。本特集ではコンサル業界の動向やビジネスモデルを徹底解説。コンサル会社を賢く選び、上手に活用していくノウハウを紹介します。

東洋経済education×ICT