整備法の第303条は時効の規定に続き、鉄道営業法について以下のような規定を設ける。
ここではまず、条文の追記がなされる。もともと鉄道営業法には第18条(乗車券の検査および割増賃金)の次に鉄道と他種の運送(船舶、軌道、自動車など)との通し運送に関する規定として第18条ノ2から第18条ノ4が置かれていた。
これらをそれぞれ1つずつ繰り下げ(第18条ノ2を第18条ノ3などとする)、新たな第18条ノ2を挿入する。そしてこの改正後第18条の2では旧第18条の2が規定していた「通し運送」のことは定めず、改正後民法第548条ノ2で新設される「『定型約款』の合意」の規定を受けた新たな内容を定める。
「定型約款」の規定ができた
「定型約款」に関する規定の創設は、今回の民法改正の1つの目玉である。
改正後民法第548条の2第1項では、「ある特定の者(定型約款準備者)が不特定多数の者を相手方として行う取引であって、その内容の全部又は一部が画一的であることがその双方にとって合理的なもの」を「定型取引」とし、「定型取引において、契約の内容とすることを目的としてその特定の者により準備された条項の総体」を「定型約款」と定義づけている。
電気やガスの契約、公共交通機関の運送契約など、不特定多数の者を相手に画一的な契約書が用意されるものが代表的である。
契約は1対1で行われるのが基本である。本来であれば電気、ガスの契約なども個々の利用者と具体的に交渉して契約をするのが基本になる。しかし、電気、ガスの契約は、契約当事者間で契約内容について交渉することはなく、あらかじめ用意された定型的な契約に基づいてサービス提供が行われる。
契約に要する手間や時間を考えると、その内容が合理的であれば画一的な定型取引がなされたほうがむしろ利用者にとっても都合がよいことが多い。その一方、画一的な対応がすぎると利用者が思わぬ不利益を被ることがある。
改正前民法では、定型約款を規制する規定が存在しなかった。そのため、この契約類型を規制するために新たに民法第548条の2~第548条の4が設けられている。ここでは、「定型約款について利用者が合意をした」とみなす要件の1つとして定型約款を準備した事業者が「定型約款を利用者に表示していたこと」が設けられた。
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