一方で、見えにくいクラスターをうまくコントロールできればメリットは多い。例えば「集団免疫効果」だ。感染から回復して免疫を持った人が増えれば、新しく発症した人の周囲には免疫を持った人が増えることになる。すると、その新しい発症者からほかの人へのさらなる感染拡大をある程度は阻止できる。感染症との戦いとは、人類がこの効果を獲得していく歴史でもある。
――3月19日をメドに、北海道での対策の効果を評価するとしています。
北海道は思い切って緊急事態宣言を出した。北海道の状況がその後どうなったのかを分析するのは、今後の日本全体がどうなっていくのかを考えるうえで重要だ。
――どういった評価内容になりそうですか?
3つのポイントがある。1つは感染者数の推移だ。新規感染者と死者数がどう推移しているか。もう1つは、1人の人が何人に感染を広げたかの推計数値。これが1人を下回れば収束に向かっていることになる。
3つめは、クラスターで追いかけられない感染がどのくらい起きているか。イタリアやイラン、韓国では感染が追いかけられなくなっている。そうなってしまえば、人の接触を止めるために大規模な外出自粛を打ち出すしかなくなる。それは避けなければいけない。
満員電車の感染リスクはさほど高くない
――イベントの自粛ムードが広まっていますが、いつまで、どのようなイベントをどこまで控えればいいのか基準がなく混乱も起きています。
新型コロナウイルスとの戦いは、インフルエンザと違って季節で終わるものではないことは、専門家の間では一致している見解だ。半年なり1年なり続く可能性もある。
専門家会議では、感染リスクが高い条件として3つの条件を出した。①閉鎖的で換気が悪い場所。②たくさんの人が密集した形で集まる場所。③近い距離で話す場所、だ。(集団感染が実際に起きた)ライブハウスや、屋形船の中でのカラオケはやはり危ない。満員電車は確かに密集して換気もよくないかもしれないが普通みんな喋らない。感染リスクはさほど高くない。
注目が集まっているのは東京オリンピックの開催だ。感染が完全に収束していなくても、やりようによっては開催できるはずだ。声を出したり叫んだりして応援するのはもちろんリスク。だから声を出さないで拍手の応援に限るとか。静かな応援に挑戦してもいい。
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