レクサス初の電気自動車は、何がどう違うのか

日本では2021年前半の発売を予定している

ところでBEVには内燃機関車両と同じく越えるべきハードルがある。両者に共通する部分はさらなる高効率化だ。内燃機関の高効率化は、例えば燃焼時の熱効率向上や熱損失の低減、さらにはエンジン内部の機械損失を少なくすることなどがあげられる。

BEVでは電動化における三種の神器、すなわち「二次電池/インバーター/モーター」の効率を高めることが近道のひとつ。これにより化石燃料1ccを燃焼させて生み出す動力、もしくは1gのCO2排出を伴って生み出した電力の取りこぼしが、それぞれ少なくなる。

マツダの「MX-30」(撮影:尾形文繁)

2020年は新たなBEVが続々誕生する。身近なところでは、ホンダ「Honda e」、マツダ「MX-30」が2020年中に市場導入されるわけだが、BEVを語る尺度の1つである航続距離は両モデルとも200~220㎞程度(WLTPモード)と短い。前出のリーフe+グレードの場合、日本でのカタログに記載されている航続距離は570㎞(こちらはWLTCモード)だ。

Honda eや MX-30の航続距離は、いずれもリーフe+と比較して半分以下だが、これは両モデルとも二次電池容量を35.5kWに限定したため(リーフe+の約57.2%)で、当然といえば当然。マツダによれば、二次電池はその容量によって製造から廃棄までのLCA(ライフサイクルアセスメント)観点でのCO2総排出量が決まるとし、仮に車両の寿命を16万kmとした場合には35.5kWhという容量が、同クラスの内燃機関車両と比較しても優位性が保たれる、と表明している。

スマホ流継ぎ足し充電によるBEVの現実味

このように電動化、とりわけBEVに対する考え方は多種多様。大容量二次電池による高出力BEVの市場導入も進む。その一方で、充電に関する新たな解釈として、電池容量の少ないバッテリーを搭載してスマートフォンのように継ぎ足し充電を行って実用性を高める手法も現実論として語られている。

ホンダではMoixa(モイクサ)社とともに、例えば市街地の街灯に充電設備を取り入れ、ちょっとした路上駐車時に短時間充電を行うことで、限られた二次電池容量でも実用化を保てるのではないか、との検証を行っている。

また先ごろ、出光昭和シェルを有する「出光興産」が全固体リチウムイオン電池向けの設備を新設すると発表したが、エネルギー密度の向上と充電時間の短縮が見込める全固体リチウムイオン電池の実用量産化が進めば、こうしたスマホ流継ぎ足し充電によるBEVも現実味を帯びてくるのではないか。

2020年もクルマ社会の電動化は進む。そのうえで、BEVは電動車のひとつであり、そこにはご存じのとおり、HV(ハイブリッド車)やPHV(プラグインハイブリッド車)など内燃機関を搭載した車両も含まれる。よって「BEV対内燃機関」という人目を惹くタイトルは、本来の目的がCO2削減であるならば意味をなさないのではないだろうか。それよりも筆者は、この先もBEVを送り出すメーカーの充電方法や使い方を含めた新しい提案に期待していきたい。

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