「下方修正」続出、キーワードで探るコロナ影響 「会社四季報」春号で判明した650社超の内実
わずか2カ月半前に発表したばかりの営業利益見込み193億円を、3月初旬にもう17億円へと大幅下方修正――。
旅行会社大手でホテルやハウステンボスの運営などの事業も展開するエイチ・アイ・エスが発表した今2020年10月期の通期業績は大きな衝撃をもたらした。言うまでもなく背景にあるのは、今や世界中を震撼させるコロナウイルスの感染が広がっていること。同社では7月まで影響が残るとの前提のうえ、当初の計画の抜本的な見直しを断行した。
新型コロナウイルスの感染拡大による日本企業の業績への懸念が急速に高まったのは2月以降。しかし、その後1カ月半ほどの期間にもかかわらず、さまざまな企業で新型肺炎の影響や懸念が広がっている。エイチ・アイ・エスのように発表済みの業績予想を下方修正したり、影響の度合いが見通せないことで従来予想を取り下げ、予想数値を「未公表」とする企業も増えてきている。
「新型肺炎」で検索した結果は650社超
3月16日(月)発売の『会社四季報』(2020年2集春号)では、1月下旬から3月初旬にかけて全上場企業3778社に直近の業績について取材し、650社超の記事で「新型肺炎」関連の影響について記載している。
新型肺炎による企業業績への悪影響を大きく分類すると、①製造業などでの中国生産拠点の一時停止や中国国内での需要減退、②小売業や飲食店など中国進出企業の現地店舗の休業、③内需企業における訪日観光客の減少や、旅行、スポーツジム、映画、ライブなどイベントの自粛、といった影響が出ていることが見て取れる。
中国に生産拠点を持つ製造業にとって打撃となったのが、2月の春節の連休明けに、中国当局からの要請などにより工場の稼働停止を余儀なくされたこと。武漢に完成車工場を持つホンダや日産自動車をはじめ、その他自動車メーカーや各社の系列部品メーカーなどにも影響が及んでいる。
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