イタリア、スペインと感染急拡大の欧州事情

第一生命経済研究所の田中理氏の分析

田中 理(たなか おさむ)/第一生命経済研究所 主席エコノミスト。 慶応義塾大学卒、青山学院大学修士(経済学)、米バージニア大学修士(経済学・統計学)。日本総合研究所、日本経済研究センター、モルガン・スタンレー・ディーン・ウィッター証券(現モルガン・スタンレーMUFG証券)にて日、米、欧の経済分析を担当。2009年11月から第一生命経済研究所にて主に欧州経済を担当。

医療体制をみると、国際的に見れば西側欧州はアメリカに比べて医療へのアクセスはよく、イタリアもしかり。だが、今回はそれだけに人が殺到してしまった。

かつ、それまで欧州でクラスター感染が起きていなかったので油断もあったと思われる。特に隔離しないで普段どおりの診察を行ったので、医師も感染して、病院がクラスターになってしまった。

また、医療レベルの高い西側欧州諸国内での比較だが、相対的にイタリアはやや脆弱なほうだ。ヘルスケアへの支出を対GDP(国内総生産)比で見ると、ドイツやフランスに比べて少ない。1人当たりの病床数で見てもそうだ。

ドイツは検査数が多く、感染者もそれなりに増えているが、死者が少ないのは、医療崩壊を起こしていない。医療システムの強固さがある。フランスは実は検査数は多くなく、マクロン大統領が症状の重い人を優先して医療崩壊を避ける方針をとっている。各国のアプローチの違いが出てきている。

医療崩壊を起こさないことは大事

――そうすると、医療・検査体制が整っているに超したことはないけれど、どの国も現在あるキャパシティを前提にせざるをえない段階では、医療崩壊を起こさないことは重要ですね。

そう思う。日本政府はいろいろと批判されているが、検査をある程度絞ることで、結果として死者数が一定程度抑えられているということは、管理ができているといえるのではないか。

それを見る1つのデータとして、感染者数が100人を超えた後の経過日数で見ると、日本は増加ペースが低く、韓国、イタリアなどは急拡大した。

今後は感染が先行している国で、いつピークアウトしてくるのかが注目される。中国のピークアウトは明らかになってきたので、30日、40日ぐらいが目安になるのか。ただ、中国は徹底して隔離しているので、メルクマールになるかどうかという問題はある。

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