トランプ後も変質続く「アメリカ流同盟関係」 「日米同盟一辺倒」はどこまで維持できるか
日米安保条約によってアメリカ軍が日本に駐留しているが、それに伴って基地の賃借料や基地周辺対策などの費用は日本が義務的に払うことになっている。ところが1970年代以降、日本政府は通称「思いやり予算」という名目で日本人従業員の手当の一部を負担し、後には基本給のほか、アメリカ軍の住宅や娯楽施設などの整備費も負担するようになった。
あれやこれや合計すると5800億円(2019年度)も負担している。この金額は同盟国の中でも突出して多い。日本政府がどれだけ負担するかについて日米間で5年に1度、見直しをすることになっており、次は2021年3月末が期限となっている。
ところがアメリカ政府は今回の見直しを機に日本に対して大幅な負担増を求めてきている。その額ははっきりしていないが、アメリカが負担している駐留経費全額の1.5倍の金額を非公式に要求してきていると伝えられている。これだと日本政府の負担は約80億ドル(約8500億円)にもなるという。とても応じられる金額ではない。
韓国には5300億円の負担を要求
似たような要求を突き付けられているのは日本だけではない。すでに交渉が始まっている韓国はアメリカとの協議が膠着状態に陥っている。交渉の長期化を受けてアメリカ政府はアメリカ軍基地で働く韓国人労働者に対し、4月1日から暫定的に無給の休職を実施する方針を通知している。
アメリカの当初の要求額は韓国政府が現在負担している額の5倍の50億ドル(約5300億円)と言われている。交渉は2019年から6回行われているが、まったく折り合いがついていないようだ。
北東アジアは中国、ロシア、北朝鮮を抱え、世界の中でも軍事的緊張の高い地域であり、アメリカにとっても日本や韓国との同盟関係は重要なはずだ。にもかかわらずトランプ大統領はなぜ、信頼関係を崩すような要求をしてくるのか。背景には、あらゆることを金銭的に計算して得か損かで判断する思考法がある。
それを具体的に示すエピソードがワシントン・ポスト紙のボブ・ウッドワード氏の著書『恐怖の男』(日本経済新聞出版社、2018年)で詳しく紹介されている。
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