トランプ後も変質続く「アメリカ流同盟関係」 「日米同盟一辺倒」はどこまで維持できるか

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では、トランプ政権が終わればすべてが解決し、アメリカがかつてのような国際協調路線に戻り、世界の秩序維持に中心的役割を果たすようになるのだろうか。おそらくこうした見方は楽観的にすぎるだろう。

トランプ大統領は極端なケースだろうが、かつてのようにアメリカがあちこちの紛争に介入し、力で解決するという「世界の警察官」の役割を果たすことは今後はないだろう。

2001年の同時多発テロ以降、アメリカはアフガン戦争やイラク戦争をはじめ、世界各地で「テロとの戦い」に取り組み、多額の財政負担に苦しむとともにアメリカ兵に多数の犠牲者を出してきた。その反動が国内に広がり、「非介入主義」「自国中心主義」が広く支持を得ている。また、中国の台頭によって経済力が相対的に低下していることも否定できない。

日本の外交に求められる「柔軟な対応」

となると、大統領が代わったからと言って、アメリカの対外政策や安保政策が元に戻ると期待できない。つまりトランプ大統領は極端な例外ではなく、アメリカの変化が凝縮した形で噴出しただけかもしれないのだ。日本の外交、安全保障政策も「日米同盟一辺倒」から、アメリカの変化に合わせた柔軟な対応が必要になるだろう。

在日米軍駐留経費をめぐる日米間の協議がいつ始まるかはまだ決まっていない。11月に大統領選を控えていることもあり、アメリカが妥協を許さない強い姿勢で臨んでくる可能性が高く、厳しい交渉になるだろう。

19世紀にイギリスの首相を務めたパーマストン子爵が有名な言葉を残している。「わがイギリスにとって、永遠の同盟もなければ永遠の敵もない。あるのはただ1つ、永遠のイギリスの国益のみ」。

これを現代に当てはめれば、トランプ流の現実主義を意味していると受け取れる。しかし同時に、日米同盟関係を「不動のもの」とせず、日本にもしたたかな外交が必要である、と受け止めることができる言葉でもある。

薬師寺 克行 東洋大学教授

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やくしじ かつゆき / Katsuyuki Yakushiji

1979年東京大学卒、朝日新聞社に入社。政治部で首相官邸や外務省などを担当。論説委員、月刊『論座』編集長、政治部長などを務める。2011年より東洋大学社会学部教授。国際問題研究所客員研究員。専門は現代日本政治、日本外交。主な著書に『現代日本政治史』(有斐閣、2014年)、『激論! ナショナリズムと外交』(講談社、2014年)、『証言 民主党政権』(講談社、2012年)など。

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