当初、コロナを理由に公開を延期したのは『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』と『ピーターラビット2』だけ。しかも、この2作品は、北米以外での売り上げが大きいことから、「外で起こっていることに合わせて」の対応だ。
ハリウッドとブロードウェイの大物プロデューサー、スコット・ルーディンは、ニューヨークへの観光客減少に合わせてか、彼がプロデュースするブロードウェイ劇5作品をすべて50ドルに大幅値下げすると発表したが、それはすなわち、上演は続けるということである。しかし、ハンクス告白の翌日、ブロードウェイはすべての作品が上演中止となった。
また、先週末の『サタデー・ナイト・ライブ』ではコロナが何度もジョークのネタになっていた。その寸劇の1つでは、感染を恐れるばかりに極端に他人との接触を避ける人々の様子が大げさに描かれている。
だが、今や笑いごとではない。ハンクス、NBAのニュースから一夜明けた12日、パラマウントは、今月20日に公開予定で、すでにプレミアもやっていた『クワイエット・プレイス PART2』の延期を決定。ユニバーサルも、5月22日に予定されていた『ワイルド・スピード』シリーズ最新作『F9』の延期を発表した。『クワイエット・プレイス PART2』の新たな公開時期は決まっておらず、『F9』は、なんと1年先とのこと。この混乱は早々には収束しないだろうという、悲観的な見方を反映している。
年に1度の大型イベントも中止に
先週、テキサス州オースティンの大型エンタメイベント、サウス・バイ・サウスウエスト(SXSW)がキャンセルを強いられた後もまだやると言い続けていたシネマコンも、ついに断念した。
シネマコンはアメリカの興行主が集まるコンベンションで、メジャースタジオがこれから来る作品の数々をプレゼンする。映画館のオーナーたちにとっては、普段スクリーンでしか見られないハリウッドスターを生で見られる年に1度の楽しいイベントだ。
しかし、ラスベガスのホテル内という、普段ですら決してヘルシーでない密室空間に、今の状況で大勢の人とスターを集めるというのは、どう考えてもありえない。
今頃深刻に頭を悩ませているはずなのは、5月半ばのカンヌ映画祭だ。先週末にも、筆者のもとには映画祭事務局から「ラインナップの発表は4月16日です」というニュースレターが届いたところを見ても、まだ決行の方向で進んでいるようだが、これから2カ月の間に、映画の上映も、記者会見も、映画の売買も、すべて大勢の人が参加する密室で行われる映画祭をやっても大丈夫な状況になっているかどうかは、疑わしい。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら