「国産連節バス」はダイムラーの牙城を崩せるか いすゞと日野が共同開発、「シターロG」に挑む
2020年6月、横浜駅東口と赤レンガ倉庫、山下公園、元町・中華街など、横浜ベイエリアの人気観光スポットをつなぐ、新たな市営バス路線「ベイサイド ブルー」が開業する。観光客の回遊性向上を意図した新路線で、横浜市は年間約58万人の利用者を見込んでいる。
使用する4台の車両は、いすゞ自動車と日野自動車が共同開発した初の国産〝連節バス〟だ。2台の車両をつなげた全長は18メートルもあり、一般的な大型路線バスの1.5倍に当たる最大113人が乗車できる。価格は1台・約8800万円(税抜き)と単車両型の3倍強。2月に横浜市交通局に引き渡され、運行開始に向けた運転手の訓練が始まっている。
いすゞと日野は2017年に大量輸送を目的とした連節バスの共同開発に着手。いすゞが車体・シャーシ、日野がエンジンとハイブリッドシステムを担当して商品化し、昨年に販売を開始した。横浜のベイサイド ブルーは、その記念すべき初の導入路線だ。
圧倒的シェア握る「シターロG」
国内の乗合バス事業者にとって、これまで連節バスは海外メーカー製の輸入車両しか選択肢がなかった。現在、国内で導入されている連節バス車両のほとんどは、世界的に有名なダイムラー傘下のエボバス社製のメルセデス・ベンツ「シターロG」だ。同社はドイツのマンハイム工場で毎年、約1000台もの連節バスを生産している。
日本では2007年に初めて納入され、これまでの国内販売実績は61台。神奈川中央交通や京成バス(千葉)、西鉄バス(福岡)、岐阜バス、神姫バス(兵庫)、近江鉄道(滋賀)などが導入済みだ。同じダイムラー傘下の三菱ふそうトラック・バスが販売窓口となり、2019年は神奈川中央交通に8台、西鉄バス北九州にも4台を納入した。
そこに国内2大バスメーカーのいすゞと日野がタッグを組んでついに参入。日本の連節バス市場をめぐって、ダイムラーと国内勢の戦いが幕を切ったのである。
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