東京五輪中止論浮上で追い詰められる安倍首相

消費税引き下げ浮上、中止なら安倍退陣必至

安倍首相が唐突に打ち出した2月27日の全国休校要請という政治決断についても、「結果的に日本社会特有の同調圧力によって、あらゆるイベントなどの総自粛につながり、日本経済がリーマンショックを超える窮状に陥る引き金ともなった」(経済界有力者)との指摘もある。

そうした中、政界が注目するのが、「東京五輪中止・延期の可能性と、その場合の安倍政権への打撃度」(自民幹部)だ。最新のNHK調査などでは、全国休校要請や感染拡大国からの入国制限を支持する声は多数派を占め、首相サイドが恐れる内閣支持率急落への防波堤になっているようにもみえる。

その一方、東京五輪の中止を予想する「悲観論」が、開催を熱望する「楽観論」を上回る状況となりつつある。

陰の立役者の「爆弾発言」

その中で11日に飛び出したのが、五輪組織委員会の高橋治之理事(元電通専務)の「大会を1~2年後の夏に延期するプランを考えるべきだ」との爆弾発言だ。高橋氏は東京五輪誘致の「陰の立役者の1人」とされる組織委の有力者だけに、物議を醸したのも当然だ。

高橋氏は個人的見解として、「(コロナ対応で)日本が大丈夫ならそれで開催できるわけではない」としたうえで、「(延期する場合)2年後の夏が、いちばん可能性がある」と指摘した。その一方で、中止の可能性については「ありえない。IOC(国際オリンピック委員会)の財政が危うくなる」とも力説した。

この発言について、組織委会長の森喜朗元首相は「大事な時期に軽率なことをおっしゃった」と不快感を示し、「電話で高橋氏から『口が滑って申し訳ない』との謝罪があった」として、「今、計画を変えることはまったく考えていない」と延期の可能性を否定した。

ただ、高橋氏はその後のメディアの取材に対し「(3月下旬に予定される)次の理事会で延期の検討を提案したい」と語ったとされ、騒ぎはなお収まりそうもない。

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