東京五輪中止論浮上で追い詰められる安倍首相 消費税引き下げ浮上、中止なら安倍退陣必至
自民党内ではすでに「五輪開催が中止か延期となった場合には、半年か1年間に限定した消費税の5%への引き下げを打ち出すべきだ」(若手)との具体案も浮上している。「次期衆院選をにらむ野党側が消費税引き下げで足並みをそろえても、与党が引き下げを打ち出せば、衆院を解散しても野党の攻撃をかわせる」(自民選対)という策謀でもある。
もちろん、「こうしたシミュレーションは、文字どおりの机上の空論」(自民長老)と揶揄する向きも多い。首相サイドも「コロナショックで年内解散論も吹き飛びつつある。感染が本格的に収束しなければ選挙ができるはずもない」(周辺)と苦笑する。
いつまでも「瀬戸際」が続く可能性も
コロナ対応を協議する政府の専門家会議は3月19日に感染拡大の状況を判断する方針だ。今のところ、新たな感染者数が急増した日はなく、1日当たり数十人程度で推移している。
専門家会議のメンバーの1人は「感染が急拡大しないのは、我慢強くて清潔好きという日本特有の国民意識が主要因」と指摘するが、専門家会議の有力者は「いつまで持ちこたえられるかわからない」と不安を隠さない。19日になっても踏み込んだ判断を示せず、「いつまでたっても瀬戸際が続く状況」(医療関係議員)も想定されている。
そうした中、コロナ対応での緊急事態宣言を可能にする新型インフルエンザ等対策特別措置法改正案は13日中に参院本会議で成立し、14日にも施行される見通しだ。
ただ、安倍首相による緊急事態宣言は「実際は抜けない伝家の宝刀」(政府筋)とみられている。「全国的かつ急速な蔓延により国民生活に甚大な影響が及ぶ」との判断基準を満たす状況となれば「まさに日本のパンデミック」(自民若手)となり、「宣言した途端、東京五輪は中止か延期とせざるをえない」(閣僚経験者)からだ。
干支でみると、12年に1回やってくる子年は、安倍首相の祖父の岸信介元首相(故人)が退陣した1960年以降、中曽根内閣時代(1984年)を除いていずれも首相が交代している。しかも、日本で夏季か冬季の五輪開催の年は、3回とも首相が退陣している。
不吉なジンクスを乗り越えられるかどうかは、これから50日前後で決まるだけに、連日コロナ対応を指揮する安倍首相の表情も深刻さが増すばかりだ。
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