先行き不透明で採用も混迷--どうなる? 就職戦線2011
【5・スケジュール】「短期集中」「早期終了」は今年も変わらずか
来年の採用スケジュールはどうなるか。75%の企業は、今年と「ほぼ同時期」になると回答した。今年より「早めに活動」「状況によっては早く動く」という積極的姿勢の企業は、昨年の27%から13%に半減。優秀人材の早期確保に奔走する外資系企業を除いて、さらなる早期化はないようだ。逆にいえば採用活動は、今年と同様に4月上旬に本格スタートし、4月末にはほぼ終了という見通しだ。ただ、ここでも「未定」企業が1割近くある。採用の基本方針が決まらないので動く予定も立てられないということだ。
採用スケジュールを順に追って見てみよう。すでにスタートした来年の採用だが、現在、業界セミナーや合同説明会が全国各地で開催されている。採用予算の抑制から開催数の減少も考えられるが、11月末までは例年通り活発に行われる予定だ。年末には、企業セミナーや短期インターンシップなどの囲い込みが始まる。企業にとっては、就職先として関心を持ってもらい、十分理解したうえで応募してもらうためだ。年明けからエントリーシートの受け付けとなり、2月中旬に受け付け終了。3月からは、書類選考や面接が本格化する。この時期に特定大学にはリクルーターが派遣され、個別の接触が行われる。人事部との面接は、3月下旬から4月上旬開始という流れになる。
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そして今年同様に4月上旬に採用選考が集中、大手企業だけでなく準大手、中堅企業も足並みをそろえる。そのため今年同様に夏採用や追加募集が行われなくなる可能性もある。9割近くが春期一括採用のみという選考時期の集中は、大手人気企業と優秀な学生にとって有利といえるが、準大手企業にとっては、最終段階での面接辞退や内定辞退が続出することになる。その結果、大手人気企業に優秀学生が集中、人材の独占を招く。
一方、短期集中の選考期間に不採用となった学生は、全体の流れをしっかり見ていないと他企業などへの再挑戦の機会を失い、長期間の就活、未就職を余儀なくされる。これが一括採用の弊害であり、採用の柔軟化が求められる理由だ。