新型コロナ対策が安倍政権の「命運」を左右する 迷走する国会答弁、感染続けば結果責任も

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一連の党首会談では、枝野氏や国民民主党の玉木雄一郎代表が「(現行の)特措法のままでも対応可能」と主張したうえで、条件付きで法改正に協力する姿勢を示した。共産党の志位和夫委員長や社民党の福島瑞穂党首は法改正に反対するなど野党側の足並みも乱れた。

会談後、安倍首相は「国家的な危機にあっては与党も野党もない。一日も早い成立を目指したい」と語る一方、緊急事態宣言については「この1~2週間はそうならないための期間だ」と当面は感染拡大防止に全力投球する考えを強調した。政府は6日にも改正案を国会に提出し、翌週中の成立を目指す。

感染拡大防止の切り札なのか

与野党党首会談は熊本地震後の2016年4月以来のこと。国会論戦で防戦を強いられている安倍首相にとって、党派を超えた連携を訴えることで「野党の攻撃をかわす狙い」(自民幹部)もにじむ。

安倍首相は記者会見や国会質疑で、感染拡大阻止の切り札としての緊急事態宣言に繰り返し言及してきた。2012年に民主党政権下で成立した特措法は、首相が緊急事態を宣言することで、都道府県知事が住民に外出自粛を要請したり、施設の使用停止やイベントの中止を指示できることが明文化されている。

緊急事態を宣言する前に感染拡大に歯止めがかかっていれば、一斉休校という首相の強権発動が政治的大英断となって、内閣支持率の回復も可能だ。しかし、収束しないままに緊急事態宣言となれば、政権の危機は一段と深刻化する。しかも、いったん出した緊急事態宣言は、国内感染が本格的に終息しない限り、解除できそうもない。

収束に2カ月以上かかれば、日程的にも五輪中止が現実味を帯びる。そうなれば安倍首相にとっても絶体絶命のピンチだ。党首会談後に強調したように、まず3月中旬までの「瀬戸際の1、2週間」で感染拡大が収まるかどうかが安倍首相の大勝負の成否を決めることになる。

安倍首相にとってこれからの1週間余りが、「政権の命運がかかる、神経が苛まれる日々」(側近)となることは間違いない。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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