ソフトバンクG、巨額調達で注目される使い道 子会社の株式を担保に5000億円を借り入れ

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ソフトバンクグループは2018年春に保有する中国のアリババ株を担保に入れて約80億ドルを調達した。同年夏には追加で約14億ドルをアリババ株担保に借り入れている。この大型のマージン・ローンに参加した金融機関が、今回の16社の中に多く名を連ねているもようだ。

2018年12月に東証1部に直接上場したソフトバンクは公開直後こそ公募価格の1500円を割り、投資家から不評を買った。だがその後、株価は持ち直し、2019年央から現在までは1500円を挟んで揉み合う安定的な値動きが続いている。これは、担保価値の安定という意味で金融機関側へのアピールができた点だろう。

担保の「掛け目」は低いのか

今回、担保に使ったソフトバンク株は9億5300万株。融資を実行した2月25日の終値は1480.5円だったので、担保分の株式価値は約1兆4100億円。借り入れ金額は5000億円なので、これを1兆4100億円で割った約35%が今回の担保の掛け目となる。

元外資系証券幹部は「株を担保に融資を受けるのだから、個人が信用取引をする際の株担保融資と本質は同じ」としたうえで、「上場株を担保に融資を受けるならば70~80%が妥当では」と指摘する。つまり、もっと借り入れができたのではないかという見方だ。

だが、会社側は「リコース(訴求型)の株担保融資と今回のノンリコース・マージン・ローンとは性質がまったく異なる。35%は低いほうではない。一般的に3~4割」と説明する。2018年にアリババ株を担保としたノンリコース・マージン・ローンの掛け目も約3割だったという。

格付け会社ムーディーズ・ジャパンの柳瀬志樹ヴァイス・プレジデント-シニア・クレジット・オフィサーは、「ソフトバンクグループは通常時25%、異常時でも上限35%のLTV(ローン・トゥ・バリュー)を、財務規律を維持するうえでの目安にしている。今回のマージン・ローンは、当初のLTVが約35%とこの上限に近いが、担保となるソフトバンク株は上場されており、流動性も高い」と解説する。ここで言うLTVは、ソフトバンクグループ単体の純有利子負債(2019年末で約4.8兆円)を自社で保有する株式価値で割ったものだ。

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