日経平均株価は「2万円」では下げ止まらない もし短期反発でも「本質的な2つの下落要因」

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では、「誰がアメリカの株価を綱から落としたのか」、あるいは「渡っている綱を切断したのか」、という点も、前述のタイトルにはこめられている。それを解説するには、「ブラックスワン」と「灰色のサイ」について、説明しなければなるまい。

ブラックスワンはご存じの方も多いと思う。今では、黒い白鳥(こういう言い方は矛盾しているが)がいる、というのは知られているが、昔は存在が(欧州などの人たちには)知られていなかった。このため、存在しない、起こりえないと考えていた、意外な波乱要因を、ブラックスワンと呼んでいる。典型例として、リーマンショックをブラックスワンとして挙げる人が多い。現時点では、新型コロナウイルスによる肺炎の流行が、ブラックスワンと言えるだろう。

新型肺炎は灰色のサイを気づかせたきっかけに過ぎない

それに対して灰色のサイは、サイの色は灰色なのだから、当たり前の話だ。日本でも動物園で灰色のサイは見られるし、アフリカやインド北部などの生息地に行けば、数多くいる。そのため、「誰でも知っている」、市場で言えば「そんな材料は織り込み済みだ」といったような要因が、灰色のサイだ。ただ、灰色のサイも、ひとたび暴れれば、大変なことになる。

最近の世界経済や市場動向で言えば、灰色のサイは、アメリカ株の予想PERが高過ぎるとか、日本の経済指標が軒並み悪化しているとか、アメリカの株高が企業の借り入れによる自己株買い戻しに依存し過ぎているとか、中国経済が(新型肺炎の前から)減速していたとか、米中間の通商部分合意の中身が乏しいとか、実は米連銀の短期国債買い入れでも金余りになどなっていない、などなど数多い。

筆者は、新型肺炎というブラックスワンは、綱を切り落とした張本人だとは考えていない。それは灰色のサイに気づかせた単なる「きっかけ」、あるいは暴れる灰色のサイの「添え物」に過ぎない。灰色のサイを織り込み済みと軽視し、綱の上を歩んでいた株価が、サイの角に突き落とされた、というのが、このところの世界株価下落の本質だと解釈している。

もちろん、短期的な経済動向は、新型肺炎の流行やそれによる生産・物流の停滞、人々の心理の混乱などによって、振り回されることになりそうだ。

そうした短期要因で市況が荒れることで、株式市場では投げ売りや大胆な押し目買いが交錯し、主要国の株価は短期的にV字型の反発を見せるだろう。

ただ、大きな株価の底がどの辺りかを推し量るうえでは、そうしたブラックスワンによる波乱ではなく、本質的な灰色のサイに基づいて考えるべきだろう。筆者は、主に次の2点が、本質的な株価下落要因だと解釈している。

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