日経平均株価は「2万円」では下げ止まらない もし短期反発でも「本質的な2つの下落要因」

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おそらく、アメリカ株価が大きく下落する局面では、今より米ドル安円高に進んでいると見込まれる。そこで、アメリカ株の予想PERが15倍、1ドル=100円だとすると、日経平均の下値メドは1万7400円程度となる。

以上からざっくりは、おそらく日経平均株価は2万円を大きく割れる公算が高く、最悪の場合1万7000円台を覚悟すべき、という試算結果になる。

「過去最悪時のPBR基準」で見るとどうなるか?

では、もう一つの、日本の経済や企業収益の悪化基調から日経平均株価にアプローチするとどうなるか。

「今のところは」日本株は予想PERでみて割高ではない。だが、だいぶ前から企業収益が悪化の一途をたどっている。このため、1株当たり利益が今後どのくらい減るか予想がつかず、予想PERは、下値メドを考えるうえで、役に立たない。そこで、PBR(株価純資産倍率)で下値メドを推し量るべきだろう。予想1株当たり利益が大幅に下方修正されても、1株当たり純資産はあまり変わらないためだ。

よくPBR1倍が下値目途だ、と言われる。だが過去にPBRが1倍を大きく割り込んだことは、何度かあり、最低記録の典型例としては、2008年のリーマンショック後の2009年3月(9日、10日、12日)の0.81倍と、2012年6月(4日)の0.87倍が挙げられる(加重平均ベースの実績PBR、日本経済新聞社による)。

2月28日(金)の日経平均株価(2万1142円)の実績PBRが1.02倍だったので、PBRが0.81倍に低下すると、日経平均は約1万6800円、PBRが0.87倍なら、日経平均株価は約1万8000円となる。日経平均は2万円を深く割れる展開が否定できず、最悪の場合1万6000円台を見込んでおけばよい、ということになる。

上記のように、日経平均の下値メドは、1万6000円台から1万7000円台と見込んでいるが、それはあくまで試算に過ぎない。実際にどこが底値になるかは、わからない。加えて、短期的に株価がV字型に反発を見せるだろうと述べたが、最安値の前後も、V字型だろう。

つまり、もしV字に株価が動いても、それが目先だけの底なのか、大底なのかは、その時点では全くわかるまい。このため、日経平均株価が2万円を割れてから、現物をこつこつと下値で拾って、一段と株価が下振れしても耐える(売らない)姿勢を推奨する。耐えられないようなポジション取りは、全く勧めない。ただし、それを承知で信用取引などを行なうといいうなら、それは個人投資家の自由だ。

今週に限っての日経平均株価の推移レンジは、2万0500~2万2500円と、短期リバウンド気味に見込む。だが、大きく誤る可能性が高い。

馬渕 治好 ブーケ・ド・フルーレット代表、米国CFA協会認定証券アナリスト

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まぶち はるよし / Haruyoshi Mabuchi

1981年東京大学理学部数学科卒、1988年米国マサチューセッツ工科大学経営科学大学院(MIT Sloan School of Management)修士課程修了。(旧)日興証券グループで、主に調査部門を歴任。2004年8月~2008年12月は、日興コーディアル証券国際市場分析部長を務めた。2009年1月に独立、現在ブーケ・ド・フルーレット代表。内外諸国の経済・政治・投資家動向を踏まえ、株式、債券、為替、主要な商品市場の分析を行う。データや裏付け取材に基づく分析内容を、投資初心者にもわかりやすく解説することで定評がある。各地での講演や、マスコミ出演、新聞・雑誌等への寄稿も多い。著作に『投資の鉄人』(共著、日本経済新聞出版社)や『株への投資力を鍛える』(東洋経済新報社)『ゼロからわかる 時事問題とマーケットの深い関係』(金融財政事情研究会)、『勝率9割の投資セオリーは存在するか』(東洋経済新報社)などがある。有料メールマガジン 馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」なども刊行中。

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