温暖化が地球を冗談じゃなく痛めつける根拠 化石燃料消費の半分以上は1989年以降のことだ
もはや、この状況を避けることはできないだろう。京都議定書から20年以上たっているにもかかわらず、目標は実質的に何ひとつ達成できていない。法整備やグリーンエネルギーの導入が進み、各種活動もさかんになっているが、二酸化炭素の排出量はむしろ増えている。
2016年、パリ協定は平均気温の上昇幅を2℃までと定めた。しかし、それから数年たち、目標に着々と近づいている先進国は皆無である。いつの間にか2℃目標は望ましいシナリオにすりかわり、それ以上に気温が上昇する忌まわしい可能性は巧みに世間から隠されている。
最悪の予測を見過ごすと、起こりうる事態まで軽く考えてしまい、備えがおろそかになる。最大予測は可能性の上限であり、それより下の予測はいつ起きてもおかしくない。気候変動の懸念は半世紀前から指摘されていて、楽観的な意見がことごとくはずれたことを考えると、むしろ最悪の予測こそ指針とすべきではないだろうか。
気温上昇2℃で何が起きるか
国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、地球の現状と、気候変動の今後を評価するための基準を定めている。議論の余地がない確かな研究結果だけを採用しているため、おとなしめではあるが。
次の報告は2022年の予定だが、現時点で最新の報告は、パリ協定で決定しておきながらいまだ実現していない対応を直ちに実行しないと、今世紀末までに平均気温は約3.2℃上昇すると警告している。
3.2℃の上昇で氷床の融解が現実になり、それも目前に迫った問題となる。マイアミやダッカ、上海や香港など世界の100都市が水に浸かるだろう。
いくつかの研究によると、その分かれ目は上昇幅2℃だと指摘されている。ただし二酸化炭素の増加を直ちに止めることができたとしても、今世紀末には平均気温が2℃は高くなる見込みだ。
地球の平均気温が2℃上昇すると、いったいどういうことになるのか。
・4億人が水不足に見舞われる
・赤道帯に位置する大都市は居住に適さなくなる
・北半球でも夏の熱波で数千人単位の死者が出る
・インドでは熱波の発生率が32倍になり、期間も5倍に延びて、影響を受ける人の数が93倍に増える
これでも「最良の」シナリオなのだ。
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