「調整仕事」を任される20代社員に必要な視点 GO三浦崇宏が語る「最適解を見つける」重要性
このツイートは、昨年『Tokyo Work Design Week』という「これからの働き方」を考えるイベントに登壇した時に、会場にいた20代の広告営業マンから受けた相談に対する答えだったんだよね。
俺に質問をくれた彼は、広告会社に入ってクリエーターになりたかったのに営業に配属されてしまったらしくて。それで、「調整仕事ばっかりやらされている。何もスキルが身につかないし、成長している気がしない」って言ってたわけ。
それを聞いて、何言ってんだよ!って思ってさ。

調整って、仕事の根幹にあるすごい大事なものだから、それがわかっていない時点ですごくもったいないなって感じたんだよね。
結局、調整仕事の本質って、プロジェクトに関わる全員の利害をマネジメントすること。スケジュール調整1つとってもそうで、会議や商談に参加する人たち全員のニーズを汲んで、最も適した日をセッティングするわけでしょ?
あらゆる人にとっての「最適解を見つける」って、ビジネスの基本じゃないですか。
仕事ってデザインとかプレゼンとか企画書制作みたいな分かりやすい名前のつく仕事だけじゃなくて、調整仕事の一言にまとめられてしまう無数のタスクやアクションがあって、それこそ実はものすごく大事なわけよ。
例えば連絡1つでも電話・メール・LINE・スラックのどれを使うか。いつのタイミングで連絡するか。口調はフランクなのがいいか、硬い方がいいのか、挨拶するか結論からぶつけるか。無数の条件から相手の気持ちと自分の状況の間でベストな答えを見つけて意思決定する。
全員の最適解を提案して、鮮やかな妥協点を探れ
一つひとつの名前もない小さな作業に無数の判断軸があることを理解して意思決定しないといけない。そして、そのことを自覚してやるだけで、自分だけじゃない、チームや会社の仕事の成果が圧倒的に変わってくる。
広告づくりの仕事も、複数の利害関係者の「最適解」を見つけるための作業が死ぬほど発生します。
例えば、クライアントは出来上がったポスタービジュアルを見て「もっとロゴを大きくしたい」って言うし、クリエーターは「そんなのダサいから嫌です」って言う。ところが、その広告を見る消費者は、「別にロゴが大きかろうが小さかろうが、全然気にならない」って言う。
じゃあ、そんなときにどうするか。
全員にとっての最適解を提案して、皆を納得させるしかないんだよね。言い換えると、「鮮やかな妥協点を探れ」ってこと。
妥協って聞くと何だか負けたようなニュアンスが漂うけど、全くそんなことはなくて。
「こんな鮮やかな着地点、見たことないです」って言われるようなクリエーティブな最適解を見つけ出せる奴こそ、本当に仕事ができる奴だと思う。
俺も今は「調整仕事が大事だ」って言い切ってるけど、その本質にちゃんと気づくことができたのは、20代の頃に博報堂で数年働いた後だったと思う。