タリーズのコーヒーはスタバと一体何が違うか 4番手の持ち味は「独自の豆選び」と「国内焙煎」

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コーヒーへの魅力は捨てがたく、3年半の同社営業マン時代に資金を貯めると退社。観光ビザでブラジルに渡り、現地の農園、流通販売機構、輸出状況、ティスティングなどを自ら学ぶ。当初は、独自の店を日本で開業するのが目的だったと聞くが、その後、タリーズコーヒージャパンに入社し、拡大する同社の国内カフェ事業を支えてきた。

スタバの国内におけるコーヒー技術者にも取材してきたが、1990年代後半から2000年代に入社した人(男女)が中心だ。シアトル系カフェは、この人たちが中心を担った。

舌をかみそうな名前のメニューも少ない

店で提供されるタリーズのコーヒーは、こんなこだわりとなっている。

「お客さまがご注文後にバリスタが半自動式マシンで1杯ずつ丁寧に抽出します。コーヒー粉の重量、抽出時間、抽出量など細かいルールがあり、ボタンを押せば出てくる飲料ではありません。品質維持やスキル向上のねらいもあり、毎年バリスタ競技会も実施します」

広報担当の山口さほりさん(タリーズコーヒージャパン広報室)はこう話す。

引いた視点でタリーズの活動を見ると、スタバへの意識がチラ見えする。例えば従業員をスターバックスは「パートナー」、タリーズは「フェロー」と呼ぶ。バリスタ競技会は両社ともに約20年前(ほぼ同時期)から行い、その名称は前者が「アンバサダーカップ」、後者が「バリスタコンテスト」だ。2019年には両方を取材したが、雰囲気も少し異なる。

店のメニューや事業活動でも、タリーズは比較的わかりやすく、スタバのような舌をかみそうな表記は少ない。例えば、タリーズの定番コーヒー豆の名称は「ハウスブレンド」。ドリンク「カプチーノ」や「ハニーミルクラテ」なども中身がイメージしやすい。

タリーズの「クラシックパンケーキ メープルバター」と「本日のコーヒー」(画像提供:タリーズコーヒージャパン)

あまり知られていない横顔も紹介しよう、現在のタリーズコーヒージャパンは伊藤園の子会社で、2006年に同グループとなり14年が過ぎている。

1997年にタリーズを日本に誘致し、1号店を開業したのは、日本法人創業時の松田公太・元社長(元参議院議員)だ。かつては話題を呼んだ同氏の印象が強いが、現在、資本関係は一切ない。伊藤園のグループ企業となってからは、現在の代表取締役・荻田築会長が中心となって運営する。荻田氏は伊藤園で営業畑一筋、元副社長・副会長を歴任した人物だ。

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