タリーズのコーヒーはスタバと一体何が違うか 4番手の持ち味は「独自の豆選び」と「国内焙煎」
ちなみにアメリカのタリーズ(アメリカ法人)は経営が悪化し、2012年に事実上の倒産。タリーズコーヒージャパン(日本法人)は2005年にアメリカ法人からライセンス権を取得し、独自経営を続けていたため、影響は受けなかった。
伊藤園の自動販売機の中にはタリーズの飲料があるなど、親会社のブランド力も背景に事業を拡大。長年増収増益を続ける“孝行娘”だ。コーヒー豆の選定や商品開発、ティーメニューの開発でも「伊藤園が関与することはない」という。
課題は、若者への浸透とフレンドリーさ
一方で課題もある。例えばスターバックスに比べタリーズは若い世代の支持が高くない。昨年秋、筆者は、国立大学の学生から「スタバはよく行くけど、タリーズは行ったことがない」という声をいくつか受け取った。タリーズを利用する顧客は「25~39歳が約35%」を占めるが、25歳までの利用者は約25%にとどまり、各店を訪れても実感する。
学生に向けた訴求はさておき、次世代を担う若者の利用度を高めないと、短期的にはブランドへの親近感、中長期的にはブランドの支持率につながると思う。
また全店舗数の9割以上が直営店のスタバに対して、タリーズは直営店・FC(フランチャイズチェーン)店の比率が約半々だ。どちらがいいかではないが、タリーズの店舗スタッフの中には、時にそっけない対応をする人もいる。ここも改善の余地があるだろう。長年取材してきたが、スタバの店舗スタッフから、そっけない対応をされたという話はほとんど聞かない。
そうした課題はあるとはいえ、タリーズが順調に店舗を伸ばし、ファンが多いのは事実だ。日本のカフェ文化のためにも共存共栄してほしいと思う。
この2月末には、同社から「ファゼンダバウ(バウ農園)」の新作コーヒーが発売予定だ。冒頭で渡邊さんが触れた同農園は、南川さんが中心となって共同開発してきた。
1984年にブラジルのミナスジェライス州・セラード地区で設立され、日系のフクダ・トミオ氏(創業者)、フクダ・タケオ氏(現CEO)が運営する農園だ。南川さんが2000年当時のブラジル滞在時(当時26歳で入社前)に現地の新聞に載った記事を見たトミオ氏が「ウチの農園に来なさい」と連絡して以来の付き合い。タリーズのコーヒーの象徴ともいえよう。
「新型コロナウイルス」の影響を考慮して、コーヒー発表会は中止されたが、すでに商品化されている同農園製に続く、新商品のお披露目となる予定だった。
つくづく思うが、「カフェに行く」や「コーヒーを飲む」という行為は“平和産業”だ。忙しくても安定した生活の中でこそ成り立つ。早く平穏な日々が戻るよう願ってやまない。
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