サッカーファンの執念「特別ロマンスカー」快走 貸し切りの「ゼルビア号」はこうして走った

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小田急線を走った「特急ロマンスカー・ゼルビア号」。通常は特急の止まらない鶴川駅から発車した(記者撮影)

「終点は新宿ではなくJ1だと思っていますので、熱い声援をお願いいたします!」

2020年のサッカーJリーグ開幕を約2週間後に控えた2月9日、J2「FC町田ゼルビア」の監督や選手、サポーターらを乗せて小田急線を走った貸し切り列車「特急ロマンスカー・ゼルビア号」の車内。同チームの岡田優希選手によるアナウンスに、車内を埋めたサポーターらは歓声を上げた。

列車には岡田選手のほかランコ・ポポヴィッチ監督や佐野海舟選手、そして同チームのマスコットキャラクター「ゼルビー」らが乗車。ゼルビアのホームスタジアム「町田GIONスタジアム」(東京都町田市)の最寄り駅である鶴川駅を11時過ぎに出発し、75組150人のサポーターとグッズの抽選会や写真撮影などで交流した。

通常は急行列車も通過する鶴川駅からのロマンスカー特別列車。実は、サポーターが「足で稼いで」実現した特別列車だったのだ。

「歩いてもらう」ためのアプリ

小田急は2019年9月、スマートフォン向けのアプリ「ARUCLUB MACHIDA」(アルクラブ マチダ)をリリースした。FC町田ゼルビアのホームゲーム開催日、鶴川駅からスタジアムまで徒歩で向かう際にカウントした歩数に応じて、スタジアムで使えるクーポン券やオリジナルTシャツなどがもらえるアプリだ。

鶴川駅からスタジアムまでの距離は、ルートにもよるが約5km。試合開催日はシャトルバスも走るものの、アクセスの悪さから車を利用する人も多く、以前から道路の渋滞が課題になっていた。アプリはこの解決策の一環。歩くことを楽しんでもらい、スタジアムへ徒歩で向かう人を増やす狙いで登場した。

そして、アプリの最大の目玉となったのが「ロマンスカー・ゼルビア号」の運転だった。2019年のホーム最終戦である11月16日までに、試合開催日以外の歩数も含めてユーザー全員で合計1000万歩を達成できれば、小田急がロマンスカーの特別列車を走らせるという企画だ。

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