サッカーファンの執念「特別ロマンスカー」快走 貸し切りの「ゼルビア号」はこうして走った

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アプリのサービス開始は9月18日。約2カ月で1000万歩に到達するかが注目されたが、サポーターの熱意が実り、小田急によると開始から1カ月足らずの10月7日に達成。そして2020年のシーズン開幕を控えた2月9日、通常なら特急が停まることのない鶴川駅から新宿駅に向けての特別ロマンスカーが実現したのだ。

マスコットキャラクター「ゼルビー」も車内を盛り上げた(記者撮影)

ゼルビア号は、チームカラーのブルーに近いことから「青いロマンスカー」MSE・60000形の4両編成。11時16分に鶴川駅を発車後、途中の新百合ヶ丘駅の留置線で40分ほど停車し、その間に監督や選手によるゼルビアグッズの抽選会や写真撮影会などを行った。

乗客がゼルビアサポーターのサッカーファンなのはもちろんだが、運転士や車掌をはじめとする小田急側のスタッフも同社のサッカー部メンバーという、ちょっと気の利いたこだわりも。終点の新宿駅到着後、ホーム上で開いたイベントでは選手らが2020年シーズンへの抱負を語った。

岡田選手は「開幕戦ですばらしいサッカーを披露したい」と述べるとともに「鶴川駅に快速急行を停めていただくような話も聞いたんですけど」と話し、観衆の笑いを誘った。

「40万歩歩きました」

ユーザーが力を合わせればロマンスカーが走るという企画は、サポーターたちの熱意をかきたてたようだ。

車内アナウンスをするランコ・ポポヴィッチ監督(記者撮影)

親子でゼルビア号に乗車した70代の女性は「もともと歩くのは好きだったけど、1000万歩達成すればロマンスカーが走るというのでなおさら貢献しようと思って」と、雨の日以外は自宅周辺を毎日ウォーキング。「だいぶ貢献してますよ。階段はきついですけど」と笑う。アプリ使用開始からの歩数はすでに40万歩以上に達したという。

スタジアムへ徒歩で向かう人を増やすという狙いは成功しているようだ。沿線在住の40代男性は、アプリの登場後はスタジアムまで毎回歩いて行くようになった。「1回歩くと慣れるので、コースを変えながらだとそれほど苦ではなかったです。今後もこういう(ロマンスカー運転のような)企画に期待しています」と話す。

小田急によると、アプリのユーザー数は2月15日時点で約1700人。特別ロマンスカーの運行に続き、町田GIONスタジアムのバックスタンド側の工事仮囲いをユーザーによる応援ボードとして装飾するという企画も実施し、こちらも目標の2000万歩を達成した。アプリはJリーグの2020年シーズン開幕日である2月21日に更新され、今後は3000万歩達成で応援企画を実施するとしている。

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