IMF「消費税20%に引き上げ」提言に込めた真意

人口減少などでマクロ経済上の課題が増える

――日本の公的債務はGDP比で200%を超える水準まで積み上がっています。潤沢な経常収支黒字がこれを支えていますが、この状態は永遠に続かないのではないでしょうか。

4条協議報告書にあるように、日本の2019年の対外ポジションと経済収支は、基礎的条件とのぞましい政策と整合的だ。過剰にならない範囲で対外収支を維持するには、成長と国内需要をサポートする、幅広く、信頼のおける構造改革とともに、中期的な財政再建計画を継続する努力が求められる。

――プライマリーバランス(PB)の黒字化目標は、安倍政権下で何度も先送りされてきました。にもかかわらず、IMF報告ではPB赤字が続くことについて、あまり危機感が感じられないように見えます。

成長のモメンタムとリフレ政策、構造改革を進めるために、短期的には財政政策による下支えが必要だとわれわれは考えている。IMFは日本の公的債務の水準とプライマリーバランス赤字を認識しており、信頼がおける、明確な中期的財政フレームワークが必要だと考えている。

財政フレームワークによる財政的な調整は漸進的なものだが、高齢化に伴う財政支出が(今後)急増していくことを考えれば、コスト構造改革を延期すると重大な結果をもたらす。構造改革の延期は現在の高齢世代に利益をもたらす代わりに、将来世代の損失をもたらすことになる。

2050年までに消費税率は20%に

――今回の4条協議の報告書では、2030年までに消費税率を15%に、2050年までに段階的に20%に引き上げる必要がある、と提言しました。

2018年に出したIMFのスタッフによる研究では、高齢化のコストを賄うために、消費税率は漸進的に2030年までに15%に引き下げ、2050年までに同じく20%まで必要と推計されている。

消費税は規則正しいスケジュールで、漸進的に増税していくのがよいと考えている。そうすれば、経済面への影響を和らげ、政策の不確実性を最小化できる。政策の不確実性を減らせば、企業の設備投資を活性化し、家計の将来不安に基づく貯蓄を減らすことも期待できる。その結果、税率を引き上げることによる経済へのマイナス影響を減殺することになるだろう。

――企業部門がこれだけ貯蓄超過であることを考慮すると、増税の手段として消費税ではなく、企業部門への増税も考えられませんか。

法人税は歳入確保策として重要だと認識しているが、法人税は同時に構造改革を進めるインセンティブをもたらす。例えば、賃金上昇を促すために、より効果的な法人税のインセンティブ(減税)はありうる。

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