不動産の「来店不要取引」がいま俄然注目の訳

普及局面に加え、新型コロナでも注目されるか

ネットからの問い合わせは気軽にできるので、その内容も千差万別。来店客であれば、具体的な引っ越しなどの予定が決まっている人がほとんどだが、ネットの場合はすぐに引っ越したい人もいれば、「気に入った物件が出てくれば検討したい」という人や、情報収集を始めたばかりの人などさまざまだ。

ネットからの問い合わせに対応しなければ顧客を逃がし、ほかの企業に奪われてしまうことになる。とは言え、すべての問い合わせに対応するのは効率が悪い。アメリカでも不動産取引は有資格者であるエージェントが行っているが、そうした悩みを抱える事業者が増えていた。

「数年前からネットからの問い合わせから顧客ニーズを分析し、すぐ契約に持ち込めそうな顧客だけをエージェントに紹介するサービスが登場して業績を伸ばしている。今後、アメリカでも日本でも成長が期待できるビジネスモデルだろう」と市川氏は分析する。

宅建士と営業マンの生産性向上が課題

日本でも不動産取引は有資格者の宅地建物取引士(宅建士)が行わなければならないが、顧客からの問い合わせや内見の案内などは店舗に常駐する営業マンが対応してきた。しかし、ネットからの問い合わせが増えるなかで、宅建士と営業マンの生産性向上を図る必要性が高まっている。

日本でもスタートアップ企業のEQONが、消費者向けに実績のある宅建士を紹介するサービス「EGENT」を昨年6月から開始した。消費者のニーズに合った宅建士を180社200人から紹介するサービスだが、宅建士にとっても消費者の問い合わせにEQONのスタッフが事前対応して有望顧客を効率的に紹介してもらえるメリットがある。

VRサービスのナーブでも、VRコンテンツを見た消費者からの問い合わせに対応する遠隔接客システム「どこでもストア」の提供を2018年から開始した。消費者からの問い合わせにはナーブのスタッフが対応する仕組みで、2019年からは成約見込みがほぼ確実な顧客だけを宅建業者に送客するサービスも始めている。

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