首都圏で「早朝無人」駅、脱鉄道へJR東の焦燥 大量退職が間近、駅業務の合理化を加速
10月下旬、JR総武線東船橋駅。まだ薄暗い午前5時30分、乗客の姿はあまりない。
姿がないのは乗客だけではない。東船橋駅は始発から2時間弱、午前6時45分ごろまで、駅員が常駐しない無人駅となる。改札口隣の窓口はカーテンが閉められ、ホームへと続くエスカレーターも駅員が来る時間帯までは止まったまま。列車が出発する際もアナウンスや笛の音がホームに鳴り響くことはない。客への対応は、インターホンを通じて隣の船橋駅の駅員が行う。
山手線の駅でも検討
ローカル線ではありふれた無人駅だが、実は利用者が多い首都圏の駅にもじわりと広がりを見せている。今年3月からは東船橋駅のほか、同じく総武線の下総中山駅や幕張本郷駅にも、早朝時間帯の完全無人化が導入された。無人化の決定に一律の基準はないようだが、これら3駅の1日の平均乗車人員は、下総中山と東船橋で各2万人程度、幕張本郷で約3万人(いずれも2017年度)の規模になる。
改札の部分的な無人化については、2013年度から23区内の駅にも導入されてきた。これらの駅では「駅遠隔操作システム」を活用。近隣の駅から券売機類を監視・操作し、客対応はインターホンを通じて行う仕組みだ。
そうした中、早朝時間帯に限ってだが、完全無人化の取り組みが広がってきた。取材によれば来年からはJR中央本線の信濃町駅、千駄ケ谷駅、東中野駅のほか、山手線の駒込駅や鶯谷駅などでも検討されているという。東日本旅客鉄道(JR東日本)は「現時点で具体的に決定している駅はない」とするが、いよいよ都心を走る山手線の駅に早朝無人化が広がる可能性がある。
早朝は通勤・通学客が大半で、Suica(スイカ)などICカードの利用が多く、無人化しても影響は小さい。他方、早朝業務をなくすことで泊まり勤務者を減らすことができるなど、労務費の削減が期待できる。
無人化と並行して進むのが、グループ会社への改札や発券、ホームでの客扱いなど駅業務の委託だ。
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