不動産の「来店不要取引」がいま俄然注目の訳 普及局面に加え、新型コロナでも注目されるか
不動産取引の無人店舗には思わぬ落とし穴もある。ナーブの「どこでもストア」を、2年前に最初に導入しようとしたのは大和ハウス工業だった。テレビ電話システムを搭載して無人店舗として全国展開する計画だったが、現在は実施を見送っている。
宅建業法では、宅建業者の店舗には宅建士の常駐が義務付けられており、宅建免許を持つ大和ハウスが無人店舗を展開するのは宅建業法違反になる可能性が指摘されたからだ。
しかし、宅建免許を持っていなければ法律の適用を受けない。宅建業者だけに認められている不動産取引の営業行為を行わずに、VRコンテンツとして掲載されている物件情報に関して消費者の質問に答えるだけなら問題ない。EQONもナーブも、宅建業者ではないのでサービス提供が可能なのだ。
ナーブでは、大和ハウスが展開を見送ったあと「どこでもストア」をイオンなどの大型ショッピングモールへの導入に取り組んでいる。イオンでは、約10年前に「イオンハウジング」のブランドで不動産流通店舗のフランチャイズチェーン(FC)展開を開始したが、直営店数店舗を出店しただけでストップしていた。
しかし、2年ほど前に不動産業向けIT企業のギガプライズが、イオンモールと提携し、子会社の「フォーメンバーズ」を通じてイオンハウジングのFC展開を開始。昨年末でイオンハウジングは27店舗までに拡大したが、同時にナーブと提携し「どこでも住宅展示場」の名称で無人店舗の出店を加速している。
無資格の担当者が営業行為をしていないか
不動産取引のインサイドセールスでは、無資格の担当者が営業行為を行っていないかを証明するという課題もある。最近ではスタートアップ事業のRevComm(レブコム)が電話での会話をAI(人工知能)分析してアラートを出しながら記録するサービスを提供するなど、インサイドセールスのためのツールも充実してきた。
今年7月には東京オリンピック・パラリンピックが始まり、テロ対策などで外出などが制限されることも予想される。テレワークとともにインサイドセールスの活用を検討する企業が増えることになりそうだ。
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